渋谷で新たに浮上した「はみ出し喫煙」とその対策について
2025年10月30日、フィリップ モリス ジャパン合同会社(PMJ)と一般社団法人渋谷未来デザインが共催したイベント「ACTION for 0」が行われ、渋谷区における喫煙環境改善に向けたトークセッションが開催されました。本セッションでは、渋谷駅周辺で約5か月間にわたり実施された喫煙実態調査の結果が発表され、特に「はみ出し喫煙」という新たな問題が注目を集めました。
調査結果の概要
調査結果は、喫煙所の数が不足していることに加え、喫煙所の認知度も低いことが、路上喫煙やゴミのポイ捨ての主な原因であることを明らかにしました。PMJの環境開発部長、鶴岡斉氏は、「調査から、喫煙所が『見つけにくい』『足りない』『混んでいる』という実態が明らかになりました。これは単なるマナーの問題ではなく、都市インフラの課題として捉える必要があります」と述べました。
特に新たに浮上した「はみ出し喫煙」は、決められた喫煙所には行くものの、混雑を理由にその中に入らず、周辺で喫煙する行為を指します。調査によると、過去に喫煙マナー違反をしたことのある満20歳以上の喫煙者のうち、93.4%が「混んでいるから」という理由ではみ出し喫煙を行いました。
複雑な都市課題の解析
東京都市大学の中島伸准教授は、今回の調査の重要性を強調し、「都市課題の解決には、マクロ視点だけでは不十分です。エリアや時間帯ごと、属性ごとに詳細な分析を行うことで、特徴に応じた施策が立案できる」と述べました。実際、センター街では20代が多く、道玄坂では飲食目的の30-40代が主流など、エリアごとの特性が浮かび上がりました。
そのため、センター街での多言語対応のマナー啓発や、道玄坂での飲食店との連携施策など、地域特性に応じた対策が必要です。
行政と地域の期待
渋谷区副区長の杉浦小枝氏は、「コロナ禍が明け来街者が増加しているが、対策が追いついていない状況」とし、民間企業との連携を通じた喫煙環境整備の重要性を訴えました。「喫煙者・非喫煙者の双方が快適に過ごせる環境を整えることが求められています」と強調しました。
地域商店会の百瀬義貴氏は、路上喫煙が店舗への美観を損ねるだけでなく、クレームにつながる問題点を指摘しつつ、加熱式たばこ専用の施設の実証実験にも賛同していると述べました。
具体的な対策と未来への展望
トークセッションでは、次世代型喫煙所「GOOD MANNER SPOT」の構想が議論され、商業施設内での22時間アクセス可能な喫煙所や、主要動線上への戦略的な配置が必要との認識が共有されました。PMJと渋谷未来デザインは、加熱式たばこの専用エリアを設けることで煙や臭いの影響を最小限に抑え、様々なタイプの喫煙者が共存できる空間を目指しています。
結論
「Action for 0」プロジェクトは、路上喫煙やポイ捨ての課題をゼロにすることを目指しています。今後の進展に注目し、渋谷区の快適な喫煙環境の実現に向けての挑戦が期待されます。官民連携による新たな取り組みが、より良い都市生活へと導いてくれることでしょう。