家族の“呪縛”をアートで解く
家庭内での見えにくい暴力や虐待は、当事者を孤立させることが多く、その影響は長い間持続します。近年「毒親」や「親ガチャ」などの言葉が広まってきているものの、「親だから許すべき」といった根強い同調圧力が今なお存在します。最近のこども家庭庁によるデータでは、日本における虐待による年間の死亡件数は70人以上にのぼり、5日に1人の割合となっています。この深刻な現状を受けて、家庭環境に傷を負った人たちが自らの経験をアートを通じて表現する「毒親アートフェス」が開催されます。
アートを通じて語る
このアートフェスでは、絵画や写真、詩など、多様な表現方法を用い、「語れない痛み」を可視化します。参加者たちの作品を通じて、社会に「心の傷」と「再生」のメッセージを届けることで、鑑賞者自身が家族や愛の意味を見つめ直す機会になることを願っています。主催者は、毒親というテーマがメディアや一部の家庭の問題で止まることなく、教育や職場、地域社会に根付く課題であることを強調。「家族」という言葉のもとで苦しんできた人々が、自らの声を取り戻すきっかけとなることを期待しています。これにより、社会が多様性を認め、人としての尊厳を守ることができれば、全体の癒しにもつながるでしょう。
「孤独」と「居場所」をテーマに
今年のテーマは「孤独」と「居場所」です。全国各地から集まった15作品が一堂に揃いますので、ぜひ足を運んでみてください。
展示詳細
- - 期間: 2025年11月5日(水)〜11月9日(日)
- - 時間: 平日 9:30〜18:30(入館は18:00まで)、土・日・祝 9:30〜17:15(入館は16:45まで)
- - 場所: 熊本県立美術館分館1Fギャラリー(正面玄関から入って左手)
さらに、毒親アートフェスの公式ウェブサイトでは、寄付を募っています。展示を通じて得られたメッセージが社会に響くことを願い、この活動を通じてより生きやすい社会の実現を目指していきます。