「ひとり旅」の実態と50歳以上の旅行スタイル
近年、50歳以上の世代において「ひとり旅」が浸透し、旅行スタイルの一つとして受け入れられています。株式会社JTBパブリッシングが出版する月刊誌『ノジュール』は、50歳以上の読者を対象に、ひとり旅の移動に関するWEBアンケートを実施しました。その結果は、ひとり旅が持つ魅力や、どのようにこれを楽しんでいるかを明らかにしています。
調査概要
本調査は2025年の6月に行われ、1048名の有効回答が得られました。調査対象は『ノジュール』の読者であり、メルマガ登録者に限られています。調査の目的は、旅慣れた50歳以上の世代が、ひとり旅をどのように捉え、どのように計画し、楽しんでいるかを探ることです。
ひとり旅を経験した読者は87%
驚くべきことに、回答者の87%がひとり旅の経験者であることが分かりました。多くの読者は「一人だと列車の席が取りやすい」「予約を直前でもできる」「ホテルのグレードを気にしなくて済む」と自由回答の中で述べ、ひとり旅が旅行スタイルとして安定しつつあることが伺えます。実際に912名の経験者を対象に、ひとり旅における移動事情についても掘り下げました。
移動手段としての公共交通
読者がひとり旅で利用する移動手段として最も多いのは公共交通であり、全体の77.6%を占めました。これに対し、マイカーやレンタカーはそれぞれ12.3%、6.8%と続いています。カーシェアリングサービスの利用も増えており、「自動車移動中の暇を楽しむために書籍の読み上げサービスを利用している」という意見もあります。旅行がよりスムーズになるよう工夫している姿が見えてきます。
移動時間についての許容範囲
ひとり旅における移動時間の許容範囲についての質問では、63.5%の読者が「目的のためなら何時間でも許容する」と回答しました。多くの人が3時間から5時間までは許容できると考えているようで、比較的長時間の移動でも問題視されないことが多いようです。移動中に楽しむ方法としては、本を読む、音楽を聴く、居眠りなどが挙げられています。
スマートフォンを使った計画
ひとり旅の計画を立てる際、最大70.7%の読者がWEBやアプリの乗換案内を利用していることが明らかになりました。次いで、68.0%が地図のアプリを利用するなど、現代の技術を駆使して旅を楽しんでいる様子がうかがえます。「自分は方向音痴だけど、スマホのおかげで安心してひとり旅ができる」と、スマートフォンの利点を語る声もあります。
タクシー利用の意識
目的地へのアクセスのためにタクシーを利用したいと考える回答者の中で、最も多かったのは「3000円までという意見」で27.9%、次いで「5000円まで」が23.7%でした。タクシーは便利なものの、一人で利用するには割高に感じるとの意見が多いようです。中には「ひとり旅ではコストがかさむため、レンタカーを選ぶ」との声も寄せられています。
ひとり旅の課題
その一方で、ひとり旅で不便だと感じる点もあります。最も多かったのは「荷物の管理」で、60.9%がこの点を挙げました。「荷物を常に目の前に置くことへの不安」という正直な声も多く、宿泊先が異なるときには特に悩ましいポイントです。また、「費用が割高になる」という意見も42.0%あり、これはコストを気にする読者が多いことを示しています。
『ノジュール7月号』の特集
2025年6月末に発行される『ノジュール7月号』では、観光列車をテーマにした特集が組まれます。厳選された観光列車を紹介し、旅の楽しみを広げる内容となっています。また、巻頭ではエッセイスト・酒井順子さんが「旅と鉄道」のテーマで語ってくれます。ますます充実していく『ノジュール』は、旅好きにとっての必携の一冊になることでしょう。定期購読の受付も行っていますので、興味のある方はぜひご覧ください。