新進気鋭の作家、鳥山まことの記憶の物語『時の家』
2025年に発表された鳥山まことの小説『時の家』が、第174回の芥川賞を受賞し、その素晴らしい内容が話題を呼んでいます。本作は、「群像」2025年8月号に掲載された作品です。その後、単行本としても発売され、多くの読者に愛されています。
鳥山まことは兵庫県宝塚市出身の作家で、2023年には「あるもの」で第29回三田文學新人賞を受賞した経歴を持っています。建築士としても活動している彼は、実際の経験を基にした独自の視点で物語を描き上げています。『時の家』は、彼にとって初の単行本作品であり、尚且つ第47回野間文芸新人賞を受賞するなど、非常に高い評価を受けています。このように同じ作品が二つの権威ある文学賞を同時に受賞するのは、極めて稀な出来事です。
作品の概要
『時の家』では、ある特定の家に住んでいた三代の住人たちの記憶が非常に繊細に描かれています。物語の中で、青年がその家の内部を細部にわたって観察し、床や柱、天井、タイル、壁に刻まれた思い出や感情を描き出す様子が印象的です。この青年の視点を通して、見えない存在たちの名残が愛おしく編まれていく過程が綴られています。
作品中には、家族の思い出や時間の経過が巧みに描写されており、読者は木材の匂いや人の気配を感じ取ることができます。非常に滑らかな文体で、シームレスに視点と時点が切り替わる様子は、まるでシンクロするかのように、物語の奥深さを体験させてくれます。
読者の反響
『時の家』に対する読者の声は続々と寄せられています。ある読者は、「登場人物が人間でない方が、感情がより深く動くかもしれない」と述べ、物語のユニークさに感嘆しています。また別の声では、作品全体を通して濃密な人間関係と記憶の重なりが感じ取れ、まさに「一文でも飛ばしてしまったら、物語に置いていかれる気がした」とのコメントもありました。
様々な感想の中には、震災やコロナ禍の記憶、そして「長く会えない人」との心の葛藤が描かれることで、読者自身の思い出を呼び起こされるという意外な反響も伺えます。「家」に関する緻密な描写が評価され、建築士としての鳥山の真剣さと誠実さが感じられるとの言及もありました。
この作品を通じて、家の存在や記憶の重要性について再考させられる気がします。多くの人にとって共感できるテーマとなっているのは間違いありません。さらに、書籍が発売されてから広まる読書風景が、今次の文学の波を創り出していることが感じられます。
著者について
鳥山まこと氏は、1992年に生まれ、2023年にデビューを果たしました。建築士であることを生かして物語を紡ぎ、常に独自の視点を提案しています。他にも「欲求アレルギー」や「アウトライン」といった作品を発表しており、今後の活躍から目が離せません。
『時の家』は、2025年10月23日に講談社から発売され、156ページの構成で友人や家族に読み聞かせたくなる一冊です。読者はもちろんのこと、小説家としての鳥山のエネルギーや心情が詰まった作品を体感し、新しい文学の塔を登るような素晴らしい体験を提供してくれるでしょう。