近年、企業の業務効率化が求められる中、三菱HCキャピタル株式会社は新たにAIプラットフォーム「Ai Workforce」を導入しました。これにより、リース業務に必要な見積書の登録作業が大幅に省力化され、年間1.2万時間の業務削減が見込まれています。
導入の背景
リース業務は、多様なサプライヤーからの見積書を基にリース料を算出し、法定耐用年数を特定する必要があります。これまで、数万件に及ぶ見積書を人力で処理することが求められており、大きな負担がかかっていました。しかし、従来のRPAやOCR技術では、異なるフォーマットの見積書からデータを自動取得することが難しく、長年の課題となっていました。
三菱HCキャピタルはDX戦略の一環として、基幹業務での生成AI活用に取り組むことを決定し、LayerXが提供する「Ai Workforce」の導入を果たしました。
導入の概要
「Ai Workforce」導入後、ユーザーは見積書をアップロードするだけで、AIが必要な明細データを抽出し、分類作業やコード付与を自動的に行います。また、業務に適したExcelテンプレートへの自動転記やCSV変換もワンクリックで実現できるようになり、作業効率は飛躍的に向上しています。トライアルの結果、約350件の見積書を処理した際、正答率は80%以上に達し、89.7%のユーザーが省力化の恩恵を実感しました。
以前は、見積書の多い場合にデータ登録作業に1時間以上かかることもありましたが、「Ai Workforce」の導入後はその時間が半分以下になりました。バックオフィス部門を中心に導入が進められ、業務削減の期待が高まっています。
Ai Workforceの特徴
1.
多様な帳票フォーマットの読み取り
「Ai Workforce」は、異なる帳票フォーマットに柔軟に対応し、正確なデータの抽出を実現します。大規模言語モデルによる自然言語処理とルールベースのアプローチを組み合わせることで、複雑な処理も高精度で行います。
2.
ユーザー視点でのレビュー体験
AIの出力には確認が必要であるため、「Ai Workforce」は利用者が直感的にレビューできるデザインです。AIが生成したデータは段階的に表示され、ユーザーが安心して利用できる環境が整っています。
3.
業務ルールの最適化
導入時には現場担当者と密に連携し、業務に特化したソリューションを提供しました。このアプローチにより、業務プロセスの円滑な改善が可能となりました。
今後の展望
今回の取り組みで、見積書の詳細情報が構造化データとして取得できるようになりました。今後は、このデータをもとに営業活動やリース資産の管理に役立てる新しいAI機能の構築を計画しています。具体的には、ユーザーからの自然言語による質問に基づいてAIが関連文書を調査し、判断の支援を行う仕組みの構築が目指されています。
また、「プロセスマイニング」といった手法を導入し、業務効率化をさらに加速させる方針です。その結果、より迅速かつ正確な業務のデジタル化が実現することでしょう。
会社情報
「Ai Workforce」はLayerXが提供するAIプラットフォームで、各企業の独自の業務プロセスを学習することにより、幅広い業務に対応可能です。また、リース業界向けソリューションやセミナーも展開し、企業の業務効率化を支援しています。
三菱HCキャピタルとLayerXによるこの新しい取り組みは、リース業界の未来を明るくするものとして大きな期待を寄せられています。