次世代ビル管理の実現に向けた基本協定が結ばれる
2025年8月、東急不動産株式会社、東急コミュニティー、ソフトバンク株式会社、SynapSpark株式会社の4社は、次世代のビル管理に関する基本協定を締結しました。この協定は、データを駆使した自律型のスマートビル「Autonomous Building(オートノマスビルディング)」を実現するためのものです。
実証フィールドの重要性
この基本協定に基づき、東急不動産が運営する「東京ポートシティ竹芝」での実証プロジェクトが続けられています。また、2026年には渋谷にある本社「渋谷ソラスタ」でもビル管理業務の最適化に向けた実証が開始される予定です。
具体的には、IoTセンサーや防犯カメラによって様々なデータを収集し、AIによって解析することで、清掃・警備・エネルギーマネジメントといったビル管理業務の効率化を図ります。これにより、オフィスワーカーやビルの来館者、さらには管理者にとって快適で便利な空間の提供を目指しています。
実証の進展と成果
これまでの実証プロジェクトでは、特に「東京ポートシティ竹芝」における清掃業務の効率化が際立っています。例えば、ごみの回収業務では、AIによりごみの量が70%に達した際に清掃員に通知が届く仕組みを導入し、これによって回収頻度を約65%削減しました。この結果、1日あたり約47分の業務時間を節約でき、年間では約2トン分のCO2削減に成功しました。
また、床の清掃に関しては、清掃ロボットを導入することで業務時間を1日あたり約1,966分も削減しました。トイレ清掃についても、利用状況に基づく動的な清掃計画によって、240分の業務時間削減に成功しています。このように実証プロジェクトは、効率性だけでなく環境負荷の軽減にも寄与しています。
今後の展開
2027年以降、これらの成果を踏まえ、東急不動産は保有する他のビルへも順次この取り組みを拡大する計画です。多様なデータ取得やロボット・AIの活用が広がることで、ビル単位での管理業務だけでなく、複数のビルを連携させた一括管理の実現を目指します。
社会課題への対応
この取り組みは少子高齢化に伴う人手不足や運用コストの上昇、さらに脱炭素社会への対応といった現代の社会的な課題にも寄与することが期待されています。利用者の満足度を高めながら、持続可能な社会の実現に向けて、今後も4社は連携を深めていきます。
各社の役割と共同作業
本協定において、各社はそれぞれ異なる役割を持っています。例えば、東急不動産は実証フィールドと施設データの提供を通じて、展開戦略を検討します。東急コミュニティーは現場管理ノウハウを提供しますし、ソフトバンクはAIや統合管理技術の実装を担当します。SynapSparkは設計や施工ノウハウを提供し、技術支援を行います。このように、それぞれの強みを活かした連携が進められています。
まとめ
「Autonomous Building」は、 AIやビルOSを通じてビル管理を進化させる次世代のスマートビルの概念です。各社の協力によって、これからも新しい取り組みが期待されます。将来的には、より安全で快適な生活空間を提供し、持続可能な社会の実現に寄与するでしょう。