空調負荷を低減するSPACECOOLの試験結果
東京都交通局とSPACECOOL株式会社が共同で、昨年行った実証試験の結果が注目を集めています。品川自動車営業所において、同社が開発した放射冷却素材を活用した防水シート「SPACECOOL」を用いた試験を実施。これにより、営業所の使用電力量が最大で8.7%低減されたことが確認されました。この取り組みは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩とされています。
実証試験の概要
この実験では、SPACECOOL防水シート(現在の名称:イノベーションプルーフRR)を品川自動車営業所の屋上に施工し、従来の防水シートと比較して使用電力量を検証しました。実施期間は令和6年の5月1日から9月30日までです。
実証試験は、実際の気温と電力量を比較することで、SCシートの効果を測定。結果として、営業所の使用電力量が平均7.8%、最大で8.7%低下したことが判明しました。これにより、この新素材の省エネ効果が実証されました。
具体的なデータ
太陽光熱の流入低減
試算によると、SCシートを導入した結果、屋上からの太陽光熱の流入熱量が最大で86.2%、平均で74.6%低減したとされます。また、従来の遮熱防水シートと比較した場合でも、最大27%の低減効果が確認されています。これにより、熱的負荷が大幅に減少し、エアコンなどの冷房機器の使用が減ることが期待されています。
温度低減効果
屋根表面温度の測定結果では、特に令和6年8月の高温時期において、SCシートが遮熱防水シートと比べて最大約16℃、平均で7℃の温度低減を実現したことがわかりました。このように、通常の遮熱防水シートが約1℃しか温度を下げられない中、大きな成果を上げたと考えられます。
SPACECOOLの技術
SPACECOOLとは、直射日光による熱を抑えつつ、宇宙に熱を逃がすことで自然な冷却を実現する新素材です。この技術によって、ゼロエネルギーでの冷却が可能となり、環境負荷の軽減が期待されます。従来の製品に比べ、高い熱伝導率と反射率を兼ね備えた設計により、非常に効率的な省エネ効果を提供します。
今後の展望
今回の試験結果は、東京都交通局とSPACECOOLの共同の成果として、大きな意味を持つとされます。今後もこの技術を建物分野で普及させ、さらなる省エネ効果とカーボンニュートラル社会の実現に向けて活動を続けていく予定です。この取り組みにより、持続可能な社会への一歩が着実に踏み出されています。