桜木紫乃の最新作『人生劇場』がついに発売
直木賞作家の桜木紫乃が贈る新たな物語『人生劇場』が、2025年3月3日に株式会社徳間書店から発売されました。この作品は、夢を追い続ける男の姿を描きつつ、家族の暗い側面にも光を当てる内容となっています。
昭和の北海道に生きる猛夫の物語
物語の舞台は昭和の北海道、鉄鉱の町・室蘭です。主人公の猛夫は四人兄弟の次男として生まれ、兄からのいじめや冷たく接する母親に苦しみながら成長していきます。彼の日々の支えは、食堂と旅館を営む伯母のカツでしたが、母親との関係は決して良好ではありません。
猛夫は中学卒業後、理容師を目指して札幌に旅立ちますが、夢を追う中で様々な挫折を経験し、再び室蘭に戻ることになります。彼の心の奥底には常に劣等感があり、いつか周囲を見返したいとの思いを抱くようになります。やがて理容師として独立することに成功し、さらにはラブホテルを経営するまでに至りますが、彼の夢は決して叶うことがありませんでした。
夢と挫折の狭間に生きる
桜木紫乃は、自身の父親をモデルにしてこの物語を創作しました。家族の絆と闇、そして一人の男性が夢を追い続ける過程を丁寧に描き出しています。作品中では、「生きることは滑稽だ」との著者コメントが印象深く、滑稽さの中にある愛情や苦悩を垣間見ることができます。
著者桜木紫乃のプロフィール
桜木紫乃さんは1965年に北海道で生まれ、2002年に「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞した作家です。その後、『ラブレス』で島清恋愛文学賞、さらに『ホテルローヤル』で直木三十五賞を獲得するなど、多くの人々に感動を与えてきました。主な著書には『ブルース』『氷の轍』『緋の河』などがあり、それぞれが独自の視点から人間関係や社会を描いています。
書誌情報
『人生劇場』は四六判上製の464ページ、定価は2,310円(税込)です。ISBNは978-4-19-865973-8。詳しい情報は
徳間書店の公式サイトや
Amazonでご確認いただけます。
この作品は、単なるフィクションではなく、家族というテーマを通じて私たちに何かを問いかける大切な一冊です。ぜひ手に取って、その深いメッセージに触れてみてはいかがでしょうか。