仙台市で始まる「NSER mobile」による救急医療改革
2026年4月1日、仙台市の救急医療が新たな段階へと進化します。TXP Medicalが提供する「NSER mobile」システムが本格運用を開始し、救急搬送の効率化や情報共有の改善が期待されています。この新システムは、救急搬送困難事案の解消とEBPM(エビデンスに基づく政策立案)の推進を目的としています。
■ 背景と課題の整理
仙台市消防局によると、2023年の救急車出動件数は統計史上最多の64,830件を記録しました。この際、入電から医療機関への収容までの時間が長引くという課題が浮き彫りとなっています。その原因は、傷病者からの情報聴取項目の増加や医療機関の受け入れ体制の逼迫にあります。この状況を打破するために、救急現場のデジタル化が急務とされていました。
■ システム導入の決定
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そこで、仙台市は2024年8月19日から「NSER mobile」を利用した救急搬送の実証事業を開始しました。市内の8つの救急隊および全ての第3次救急医療機関が参加し、運用の実施結果としては、病院照会時間の短縮や医療機関での検査・処置の効率化が確認されました。この成功を受けて、正式に「NSER mobile」の導入が決定したのです。
■ NSER mobileの運用内容
「NSER mobile」は、各救急隊に配備されるタブレット端末を通じて、医療機関とデジタル情報をリアルタイムでやりとりしながら搬送業務を行うシステムです。全ての救急隊員と42の医療機関で運用が始まることで、情報のデジタル化が進みます。
【期待される効果】
1.
市民サービスの向上
・ 救急活動の迅速化と適切な早期搬送の実現
・ 医療機関の対応率が向上
・ 搬送困難事案の解消、保留事案件の減少
2.
救急隊の業務効率化
・ 手書きの記録票のデジタル化
・ 患者収容依頼のデジタル化による効率化
■ NSER mobileの特徴
このシステムは、救急車内でパタブレットを利用して、AIを活用し患者情報を迅速に病院へ送信します。これにより、従来の電話や紙ベースの作業がデジタル化され、救急医療の透明性向上にも寄与します。また、事案情報、病歴、バイタルサインなど、多くのデータを一元的に管理できるため、EBPMの推進にも繋がります。
■ 情報セキュリティと信頼性
「NSER mobile」は、国際標準規格である「ISO/IEC 27017」と「ISO/IEC 27018」を取得しており、高水準の情報セキュリティ体制の下で運用されています。また、日本DX大賞2025では地域DX部門での受賞歴もあり、その信頼性は高いと言えます。
■ TXP Medicalについて
TXP Medicalは、現役の救急集中治療医が立ち上げた医療スタートアップで、急性期医療に特化したデータプラットフォームの開発を行っています。全国の多くの医療機関で実績を持ち、救急医療の改善に向けた取り組みを続けています。
このように、仙台市での「NSER mobile」の本格導入は、救急医療の質を向上させる大きな一歩となることでしょう。市民の安全と健康を支えるため、新しい情報通信技術がどのように活用されるかに注目です。