ヤンマーが描く次世代デザイン「YANMAR PRODUCT VISION」
ヤンマーホールディングス株式会社(ヤンマーHD)は、次世代デザインのビジョン「YANMAR PRODUCT VISION(YPV)」を発表しました。この新たなアプローチは、同社が培ってきたデザイン経験を基に、機能的な価値と意味に重点を置いた「本質デザイン」をテーマに掲げています。
本質デザインの理念
「本質デザイン」とは、表面的な美しさよりも、機能や利用者のニーズに応えることを重視するアプローチです。この理念に基づき、YPVは2035年を見据えた各事業の理想的な姿を視覚化しました。特に、ヤンマーが長年関わってきた厳しい現場での利用を考慮し、「柔和剛健」という感覚がデザインの根底にあります。
プラットフォーム化への取り組み
ヤンマーHDは、YPVに含まれるデザイン要素をプラットフォームとして構築することで、部材や設計の共有化を目指しています。こうした取り組みによって、未来の作業環境を見据えた新しいインターフェイスも導入し、使い勝手や居住性の向上を図ります。また、開発コストの削減にもつながるとのことです。
三つの領域における展開
YPVの考え方は、ヤンマーの事業領域である大地(LAND)、海(SEA)、都市(CITY)のそれぞれに展開されます。これらの分野には、持続可能な社会実現に向けた具体的なアイデアが盛り込まれています。
大地(LAND)での取り組み
YPVが大地の領域で推進する具体例として、最新の農業機械や建設機械におけるキャビン構造の共通化があります。特に、原寸大のコンセプト農機「YPV-L」は、運転席に大型モニターを搭載し、自動運転農機などを操作する司令塔の役目を果たします。この新しいデザインは、作業の効率性を大いに向上させることが期待されています。
都市(CITY)における未来像
都市の領域に関しては、YPV-Cが電動化を進め、リノベーションや屋内作業に対応するとされています。この設計では、電動建機の効率的な動作を可能にし、災害時に迅速に現場へ移動できるよう、走行に適したホイールを採用しています。また、自走式バッテリー車との連動で、適時に自動給電を行う仕組みも提案されています。
海(SEA)の新たな提案
YPV-Sでは、新しいマリンライフを提案するフォイリングセイルボートが発表されています。このボートは、自然の力をフルに利用したデザインが特徴であり、揚力を利用して船体を浮かせる技術や、風力によるセイリングを取り入れています。ヤンマーは、これまでの舶用技術をもとに新しい海の楽しみ方を提供していきます。
持続可能な未来への挑戦
ヤンマーの企業理念は、環境への負荷を抑え、より良い顧客価値を提供することにあります。「HANASAKA」という価値観を基に、持続可能な未来に向けた様々なソリューションを展開し、「A SUSTAINABLE FUTURE」というブランドステートメントを任務に掲げています。
今回のYPV発表は、ヤンマーの新たなスタートを示す重要な一歩となります。今後、農業、建設、マリンといった分野における革新と成果が、どのように具現化されていくのかが非常に楽しみです。