ロッテホールディングスとリンクメッドの提携
株式会社ロッテホールディングスは、ヘルスケア・バイオ医薬の新たな成長戦略の一環として、リンクメッド株式会社への出資を実施しました。リンクメッドは、がん治療を革新的に変えるための放射性医薬品の開発を進める研究開発型企業であり、この出資により、より早期の治療薬上市が期待されています。
64Cuによる革新的ながん治療薬
リンクメッドが注力しているのは、銅の放射性同位体、64Cuを用いたがんの治療薬と診断薬です。同社の開発した64Cu-ATSMは、難治性の悪性神経膠腫に対する第三相試験を2024年6月に開始予定です。これにより、がん治療の新たな道が開かれると期待されています。
治療の課題とリンクメッドのアプローチ
従来のがん治療法、特に放射線治療や化学療法は、必ずしも満足のいく効果を上げることができないケースが多々あります。また、正常細胞への副作用も大きな問題です。リンクメッドは、64Cuの特性を生かし、これらの問題を克服する医薬品を開発しています。64Cuはオージェ電子という特殊な放射線も放出するため、高エネルギーでがん細胞に直接的な治療を実施できる利点があります。
64Cu-ATSMの可能性
リンクメッドが開発した64Cu-ATSMは、悪性脳腫瘍に特化しており、低酸素環境にある腫瘍細胞へ効率良く集積する特性があります。非臨床試験においては、当薬が低酸素状態において腫瘍の増殖を抑制し、生存率を改善する結果が確認されています。この新薬の臨床試験により、国産の放射性治療薬として新しいステップが踏み出されることになります。
ロッテグループの成長戦略
ロッテグループはヘルスケア・バイオ医薬分野を戦略事業のひとつとして位置付けており、今後さらにこの領域に注力する構えです。ロッテHDは、世界市場での有望なスタートアップやアントレプレナーを支援することで、人々のウェルビーイング向上に寄与することを目指しています。
リンクメッドへの出資により、ロッテはバイオ医薬の進化に貢献し、夢のある健康社会の実現に向けて力を合わせるビジョンを示しています。
企業情報
ロッテホールディングス
ロッテHDは、菓子やアイスを中心とした食品事業から、プロ野球球団の運営や不動産まで、多岐にわたるビジネスを展開しています。企業理念として「Lifetime Value Creator」を掲げ、すべてのライフサイクルにおいて価値を提供し続けることを目指しています。
リンクメッドのミッション
リンクメッドは、最先端科学を活用し『革新的な「見える」がん治療』を社会へ届けることをミッションに掲げています。量子科学技術研究開発機構での研究を基に設立されたこの企業は、64Cuを用いた有力な医薬品の開発を進めています。詳細は、
リンクメッド公式サイトをご覧ください。
今後の展望
この出資がもたらす効果として、がん治療における選択肢の拡大や、患者一人ひとりに対する適切な医療提供が期待されます。更なる革新が、この分野でどのような変化をもたらすのか、今後の進展に注目が集まります。