エスカレーター手すりにデジタル化の波
株式会社UDエスカレーターは、エスカレーター手すりにおけるデジタルメディアの可能性を探るため、新宿東宝ビル内のエスカレーターにて実証実験を開始しました。実験の目的は、手すり専用のNFCタグを用いてデジタルデータを携帯電話に発信し、エスカレーターの安全性向上と販促効果を両立させることです。
手すりのバリアフリー化と販促ツールの融合
UDエスカレーター社は「エスカレーター事故をゼロにする」という理念のもと、エスカレーター手すりをウレタンシートで覆う技術を開発。これにより、エスカレーター転倒事故を大幅に削減する取り組みを進めています。新たに導入するNFCタグは、手すりとウレタンシートの間に配置され、利用者の携帯電話へデジタルデータを転送することが可能です。これにより、販促デザインの共有だけでなく、エスカレーター利用者に対して直接的な情報提供も実現します。
技術的な挑戦と背景
NFCタグは至近距離で無線通信を行うため、手すりに対して耐久性が求められます。エスカレーター手すりは頻繁に使用され、その内部にはローラーなどの動力要素が存在するため、これに耐える設計が不可欠です。東京都内では、エスカレーター関連の転倒事故が年間で1428件に及ぶため、安全対策の強化が急務となっています。
情報の受け渡しがもたらす新たな可能性
エスカレーター手すりは、利用者が手をかける場所でもあるため、携帯電話との親和性が非常に高いメディアです。これにより、情報共有のハブとしての役割を果たすことができます。例えば、特定のエスカレーターに設定したポイント制度を導入することで、利用者の移動を促し、施設内の回遊性を高めることも可能です。さらに、エスカレーター乗降中にNFCタグにタッチすることで、クーポンや特典を受け取ることもでき、商業施設への送客効果も期待されます。
新たな仲間を求めて
UDエスカレーター社は、エスカレーター手すりにNFCタグを活用するプランに共感してくれるパートナーを募集しています。このデジタル化がもたらす新たな価値を共有し、より多くの人々の安全を守るための実現に向け尽力しています。エスカレーター事故の撲滅を目指し、事業者収益と安全対策を結びつけるサイクルの構築を進めていく考えです。
企業概要
- - 商号:株式会社UDエスカレーター
- - 所在地:東京都港区虎ノ門1丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
- - 代表取締役:江本 真聰
- - www.udescalator.co.jp
- - 事業内容:エスカレーター手すり広告のバリアフリー機能に関する研究、開発、販売など
実証実験の成功を収めることで、エスカレーター事故の減少につながることが期待されます。これまでに例のないこの取り組みが、今後のエスカレーター利用のあり方を変えるかもしれません。