荻原浩の新作『笑う森』が中央公論文芸賞を受賞!
直木賞作家の荻原浩さんが、その最新作『笑う森』で第19回中央公論文芸賞を受賞したことが発表されました。これは2024年5月31日に発売された作品であり、選考会は令和6年8月19日に行われました。選考委員には著名な作家たち、浅田次郎さん、鹿島茂さん、林真理子さん、村山由佳さんが名を連ね、荻原さんの作品が選ばれたことで、多くの注目を集めています。
受賞作の選評は、10月15日に発売予定の『婦人公論』11月号に掲載され、贈賞式は10月17日に都内で行われる予定です。荻原浩ファンにとって、待望のニュースとなります。
思わず引き込まれる物語
『笑う森』の冒頭は、ASDの子供・真人が「神森」と呼ばれる自殺の名所で失踪する場面から始まります。1週間後に無事救助されるものの、真人はその間に何を経験したのか、なぜ彼が「くまさんが助けてくれた」と語るのか、物語の核心は謎に包まれています。彼は衰弱した様子もなく、なぜか食べられなかったバナナを食べられるようになったり、教えた覚えのない言葉を使ったりするようになります。これを受け、彼の叔父が秘密を解明するために奔走します。
物語のもう一つの重要な側面は、真人と同じタイミングで神森に迷い込んだ4人の男女です。それぞれ、恋人を刺殺した女性、いじめられる中学校教師、挫折を重ねるユーチューバー、そして、娘のために親の金を奪って逃げたヤクザという、過去に負っている罪を抱えた彼らが、森での不思議な邂逅を経て再生の道を歩み始めます。
荻原浩が描く希望と再生
荻原浩さんの作品に共通するテーマである「再生」が、『笑う森』でも色濃く表れています。冷たい森の中で、過去の罪を抱えた人々が互いに助け合いながら、暖かな希望を見出していきます。特に、拭えない罪を背負った人々の姿が印象的で、感情的な衝撃を与える一作です。
物語の中で、真人を助けるために懸命に動く叔父、その周りにいる人々の姿、そして彼らがどのように過去を乗り越えていくのかが描かれており、読者に深い感動を与えます。
荻原浩むき出しの独特な世界観
荻原浩さんの作品は、独特な世界観と、深い人間描写で知られています。この『笑う森』も、彼の作家としての成長を感じさせる作品であり、ファンにとっては必見です。書店員からも、「待っていました!」や「これぞ荻原作品の集大成」と絶賛されています。
今後、受賞作の選評が掲載される『婦人公論』や、贈賞式の様子も注目されます。荻原浩さんが描く新たな物語の魅力にぜひ触れてみてください。
まとめ
荻原浩の『笑う森』が中央公論文芸賞を受賞したことで、改めて彼の作品にスポットライトが当たります。過去の罪と向き合いながら人々がどう再生していくのか、心の奥深くに響く物語を楽しみにしましょう。作品は、新潮社から発行されています。
-
タイトル: 笑う森
-
著者名: 荻原浩
-
発売日: 2024年5月30日
-
価格: 2,420円(税込)
-
ISBN: 978-4-10-468907-1
-
URL:
新潮社