2024年度世界デジタル政府ランキングが発表されました
早稲田大学総合研究機構電子政府・自治体研究所が毎年実施している「世界デジタル政府ランキング」の2024年版が発表され、注目が集まっています。今回のランキングでは、シンガポールが7年ぶりに1位に返り咲き、デンマークは3位にランクダウンしました。また、日本は昨年同様の11位にとどまり、デジタル政策の遅れが指摘されています。
デジタル政府ランキングの結果
2024年のランキングは、66か国・地域を対象に評価が行われ、主要10指標で多角的に分析されています。シンガポールはそのデジタル政府の制度と効率性の高さから1位を獲得し、デンマークは昨年までの3年連続1位から3位へと後退しました。これに続くのは、英国が2位、米国が4位、韓国が5位となり、上位国がスコア100点中92点以上を保持しています。今回評価が上がったのはオランダで、1位のシンガポールとの差が少しずつ縮まっています。
日本の11位は、各国が目指す市民中心の行政サービスやSDGsへの取り組みの遅れを示しており、特に高齢化社会への対策やデジタル格差の是正が求められています。
デジタル政府のトレンドと課題
今回の報告書では、政府活動におけるデジタル技術の重要性が強調されています。特に、生成AIの実装は新たなトピックとして浮上しており、国民への信頼性や透明性を確保するための取り組みを評価する指標としてあげられています。これにより、シンガポールや英国、米国などデジタル先進国は、効率的で生産的な行政サービスの実現に向けて進めています。
一方で、日本については、官庁間の縦割りやマイナンバーカードのユーザビリティ確保など、構造的な弱点が指摘されています。特に、少子高齢化やデジタル人材の不足といった課題は急務となります。例えば、小規模自治体でのAIシステムの導入が進まない状況や、サイバーセキュリティへの対策の重要性が挙げられています。
日本への提言
報告書では、日本のデジタル政府に対する二つの提言が提起されています。第一に、過去19年間の分析から得た知見を活用し、将来的なデジタル政府像を予見すること。これには、AIが社会に与える影響を早期に学ぶことが重要です。第二に、少子高齢社会を見据え、デジタルを活用した官民連携やイノベーションを推進し、行財政の効率化を図る必要があります。これにより、市民中心の行政サービスの実現が何より求められています。
まとめ
デジタル政府ランキングを通じて、世界各国のデジタル政策の進展を観察することは、今後の社会構築にとって不可欠です。国連のSDGsに基づいた目標達成には、デジタル政府の利活用が幼少期からシニア層の生活にまで重要な役割を果たすことになります。今後の日本のデジタル政府がどのような進展を見せるのか、注視したいところです。