広島市現代美術館で原田裕規個展「ホーム・ポート」開催
広島市現代美術館では、広島出身の現代美術作家・原田裕規氏の大規模な個展「原田裕規:ホーム・ポート」が開催されます。2024年11月30日から2025年2月9日までの会期で、美術館の開館と同い年である原田氏のこれまでの軌跡を辿る、充実した内容となっています。
原田裕規:社会と個人の本質を描く作家
原田裕規氏は1989年山口県生まれ、広島県育ち。2016年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程を修了。初期の活動では「ラッセン展」や「心霊写真展」といった、社会に広く認知された視覚文化を題材としたプロジェクトを手がけました。近年は、広島や山口からハワイへ渡った移民に関する調査を基に、日系アメリカ人の混成文化をテーマにした映像作品《シャドーイング》を発表するなど、多岐にわたる表現活動を行っています。
展覧会「ホーム・ポート」の見どころ
本展のタイトルにもなっている《ホーム・ポート》は、2023年夏に大火に見舞われたハワイ州マウイ島ラハイナを題材にした作品です。原田氏自身もラハイナに滞在経験があり、自身のルーツと深く関わるこの場所を「母港」として捉え、展覧会のタイトルに採用しました。
本展では、原田氏の初期の絵画作品から、代表的な映像作品、インスタレーション、パフォーマンス作品、そして最新作である平面作品「ドリームスケープ」シリーズまで、多様な表現方法を用いた作品を網羅的に展示。特に「ドリームスケープ」シリーズは、クリスチャン・ラッセンや東山魁夷、エドワード・ホッパーといった巨匠の作品を引用しつつ、現代の風景画を新たな視点で提示しています。
また、注目すべきは、24時間に渡り捨てられた写真を見続けるパフォーマンス作品《One Million Seeings》、33時間に渡り地球上の全動物の名前を読み上げる《Waiting for》など、時間と身体性をテーマにしたパフォーマンス作品の数々です。これらの作品を通して、原田氏は社会や個人の本質を、「風景」や「自画像」という形で表現しています。
関連イベントも充実
展覧会期間中には、原田氏自身によるギャラリートークや、日本ハワイ移民資料館館長との対談など、様々な関連イベントも開催予定です。これらのイベントを通じて、作品への理解を深めることができるでしょう。
広島出身作家による現代美術の新たな潮流
1989年開館の広島市現代美術館と同い年である原田氏。今回の個展は、地元出身作家による大規模な個展という点でも注目に値します。彼の作品は、単なる美術作品にとどまらず、社会や個人の本質を問いかける力強いメッセージを伝えています。この機会に、原田裕規氏の作品世界に触れてみてはいかがでしょうか。
展覧会概要
展覧会名: 原田裕規:ホーム・ポート
会期: 2024年11月30日(土)~2025年2月9日(日)
開館時間: 10:00~17:00 (入場は閉館の30分前まで)
会場: 広島市現代美術館 展示室B-2、B-3
休館日: 月曜日(ただし1/13は開館)、年末年始(12/27~2025/1/1)、1/14(火)
観覧料: 一般1,100円(850円)、大学生800円(600円)、高校生・65歳以上550円(400円)、中学生以下無料 ※()内は前売り及び30名以上の団体料金
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主催: 広島市現代美術館