服部報公賞受賞者のご紹介
2026年度の服部報公賞が発表され、京都大学大学院工学研究科の木本恒暢教授が受賞することが決まりました。この賞は、工学分野における優れた成果を挙げた研究者に贈られるもので、木本教授の業績は特に次世代半導体材料である炭化ケイ素(SiC)の研究において際立っています。
受賞理由
木本教授は、長年にわたりSiCパワー半導体の研究開発をリードしてきました。特に、4H-SiC材料の優位性を実証し、高品質なエピタキシャル成長技術を確立したことが評価されています。SiCパワー半導体の基盤技術を体系的に整備し、結晶欠陥や界面特性の解明など、材料からプロセス、デバイスにわたる多様な技術的課題に取り組んできました。
また、高耐圧・低損失のショットキーダイオードやMOSトランジスタの開発は、SiCパワー半導体の実用化を大きく前進させました。これらの成果は、電気自動車(EV)や鉄道車両、再生可能エネルギー設備、データセンターなど、幅広い分野での省エネルギー化と効率化に寄与していることから、脱炭素社会の実現にも役立っています。
受賞式について
令和8年度の報公賞の贈呈式は、2023年10月9日(金)に行われ、木本教授には賞状と共に賞金1,000万円が授与されます。また、木本教授の受賞にあわせて、16件の研究に対する「工学研究奨励援助金」として総額1,600万円が贈られるほか、新設の報公奨励賞にも100万円が授与されることが予定されています。
これまで、報公賞は1931年から通算で120件にわたって授与されてきました。今回の受賞者である木本教授の業績は、学術的な価値のみならず、社会的・産業的価値においても極めて優れたものと評価されています。
木本教授の略歴
木本恒暢氏は、1963年12月27日に生まれ、1988年に京都大学大学院工学研究科を修了しました。その後、スウェーデン国リンシェピン大学で研究を行うなど、幅広い研究歴を持っています。これまでに、電子情報通信学会からの業績賞をはじめとする多数の受賞歴があります。特に、2026年には日本学士院賞を受賞する予定です。
服部報公会について
服部報公会は、1930年に公益事業として設立され、工学の進歩に寄与する研究を目指しています。設立から現在にかけて、社会の発展に貢献するために多くの優れた研究者に対し報公賞や奨励金を授与し、学術と産業の発展を支えています。報公賞はその中でも特に著名な賞として、多くの研究者に希望を与え続けています。
木本教授の受賞は、今後のSiCパワー半導体のさらなる発展と、日本の技術の国際競争力を高めることに期待が寄せられています。