キャリアブレイク導入がもたらす新しい働き方の可能性とは?
近年、働き方の多様化が進む中で注目を集めているのが「キャリアブレイク」という考え方です。この制度は、社員が一時的に仕事から離れを持ち、自身の人生やキャリアについて再考する時間を持つことを指します。特に、企業がこの制度を導入することにより、社員の定着やウェルビーイングの向上につながる可能性があると言われています。
2025年4月13日、東京・人形町にて株式会社Trustyyleが主催したイベントでは、一般社団法人キャリアブレイク研究所の代表である北野貴大氏が登壇し、このテーマについて深掘りしました。イベントの狙いは、企業がキャリアブレイクをどのように導入し、社員にとってどんな効果が期待できるかを探ることにありました。
キャリアブレイクとは?
キャリアブレイクは、伝統的にネガティブに捉えられてきた「ブランク」の考え方を覆すものです。欧州では一般的に受け入れられているこの考え方は、日本においては未だに理解が進んでいないのが実情です。しかし、最近では「休むことで成長や意欲を取り戻す」という前向きな側面が評価されるようになっています。根底にあるのは、「休むことは決して悪ではなく、むしろ成長の一部である」という認識です。
企業での導入事例と効果
北野氏の講演では、キャリアブレイクを制度として導入する際のポイントがいくつか紹介されました。その一つは、制度を形だけ整えるのではなく、企業文化として根付かせることが重要であるという点です。給休暇制度や休職ルールが整備されていても、社内で「休むことは悪い」という空気が蔓延してしまっている場合、制度が形骸化する危険性が高まります。
具体的には、ポジティブに「立ち止まる」ことの価値を認める文化づくりが求められます。また、既に復職後に高いモチベーションを示している社員の成功事例を社内で共有することで、「キャリアブレイク」を利用することのポジティブな側面を広めることができるでしょう。
新たな人材戦略としてのキャリアブレイク
さらに、北野氏はキャリアブレイクが「社員の活力回復」や「ウェルビーイング経営」、さらには「静かな退職の予防」という観点からも有効であることを示唆しました。多くの企業が抱える人材流出の問題に対する「新戦略」として、キャリアブレイクが注目される理由です。
このように、キャリアブレイクの導入により、単なる休暇ではなく、社員の成長を促進する重要な選択肢となる可能性があるのです。また、当事者が会社以外でも「居場所」を見つけられるよう、外部コミュニティとの連携も重要視されます。
イベント参加者の声
イベント参加者からは、キャリアブレイクの持つ力を感じ、多くの人が復職に前向きになることで企業にもプラスの効果があるのではないか、との感想が寄せられました。また、休職に対するネガティブなイメージが前向きに変わるきっかけとなったといった意見もありました。
今後の展望
近年のイベントを通じて、キャリアブレイクが組織と個人の成長を支える重要な選択肢であることが改めて認識されました。今後、より多くの企業がこの制度を導入し、社員が立ち止まり、再挑戦するための文化が根付くことが期待されます。人事図書館は今後もこのような新たな人事施策に関するイベントを開催し、より多くの知識や実務に役立つヒントを提供していく予定です。私たちは、働き方やキャリアの新たな選択肢を探求し続けていきます。
登壇者プロフィール
北野貴大氏は、一般社団法人キャリアブレイク研究所の代表を務める他、大阪公立大学大学院で特別研究員をされています。彼の実績は、企業のデパートプロデューサーとしての経験を持ちながらも、2022年に退職し、新たな働き方の文化を創造するためにキャリアブレイクを推進しています。著書も多く、特にキャリアブレイクをテーマにした書籍は注目されています。
まとめ
キャリアブレイクの概念は、これからの日本の職場環境において重要な役割を果たすことでしょう。企業がこの考え方をどのように受け入れ、実践するのかが、未来の働き方に大きな影響を与えるといえます。