新たながん治療へ向けて
岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科の本田 諒准教授らが率いる研究チームが、がん治療に革命をもたらす可能性を持つタンパク質型抗がん剤候補「RRSP-RBD」を開発しました。この新しい抗がん剤は、高頻度で変異が見られるがん遺伝子RASを標的にし、腫瘍を縮小または消失させることがマウス実験で確認されています。
RAS遺伝子の重要性
RASは、細胞の増殖や生存を制薹する重要な役割を果たしていますが、特にKRAS、HRAS、NRASと呼ばれる遺伝子の変異が多数のがんに関与していることがわかっています。これらの変異は、がんの治療抵抗性や再発の原因となり、治療が難航することが多いです。これに対処するための治療法も進化していますが、多様なRAS変異を幅広く対象とする手法が求められていました。
RRSP-RBDの仕組み
研究チームは、RASを直接切断する酵素「RRSP」とRASに結合する「RAS結合ドメイン(RBD)」を組み合わせたキメラタンパク質を設計しました。このRRSP-RBDは、がん細胞内で充実した作用を持つことが実証されています。具体的には、細胞内においてRASシグナルを強力に抑制し、腫瘍の縮小や消失を誘引する能力を持っています。
さらに、RRSP-RBDを細胞内に効率よく送達するため、細胞膜透過性ペプチドを用いた技術が組み込まれており、マウスモデルにおいてその抗腫瘍効果が際立って現れました。この研究において特に注目されるのが、腫瘍の消失には免疫細胞であるCD8陽性T細胞や、分泌されるIFNγが重要な役割を果たすことが明らかになった点です。
研究の進展
本研究が示したのは、抗がん剤RRSP-RBDが腫瘍免疫と連携し、がん細胞内のRASを阻害するだけでなく、免疫反応を誘導することにより腫瘍を消失させる力を持つことです。今後は、より効率的な細胞内送達技術を開発し、臨床試験に向けた適切な投与条件を探索することが重要です。
進むべき道
十分な研究が続けられ、特に人間における安全性と有効性が確認されることが待たれます。難治性のがんに対して、新しい治療法の確立につながることが期待されています。
また、本研究は国際的な学術誌「Nature Communications」において2026年5月16日に発表され、多くの注目を集めています。未来のがん治療を根本から変える可能性を秘めたこの研究が、医療現場にどのような影響を与えるのか、今後の動向が期待されます。