イントロダクション
転職に対する意識は時代とともに変化するものですが、特に新卒3年未満での転職については社会の価値観が二極化しています。近年の調査結果によると、30代前半の正社員の中で、新卒からの転職がどのようにキャリアに影響を与えるのかが見えてきました。この調査は、株式会社プロフェッショナルバンクによって行われ、30歳から34歳の正社員954名が対象となりました。
調査の背景
一般的に「石の上にも三年」という言葉からも分かるように、多くの人が新卒入社後しばらくは耐えるべきだという意識を持っています。しかし、転職市場が活発化した現代では、特にIT業界などでは転職を前向きに捉える傾向が増えてきています。この変化に伴い、キャリアの選択肢が広がっていることは重要です。
調査方法
本調査は、2025年に行われ、PRIZMAによるインターネット調査が実施されました。回答者は、転職経験のある505名と、これまで転職未経験の449名です。調査対象とした業界には、IT・情報通信、製造、建設などが含まれ、幅広い業種からのデータが収集されました。
調査結果の概要
年収分布
調査結果によると、転職経験者と未経験者の年収分布には大きな差が見られませんでしたが、転職未経験者はわずかに高年収帯に集中していることがわかります。特に、転職経験者のうち『400万~500万円未満』と回答した方が最も多く、未経験者は『400万~500万円未満』が最多でした。これは一見すると変わらないようでも、転職経験者は経済的な不安や労働条件への不満で転職を決意することが多いことを示唆しています。
管理職の比率
管理職比率では、転職経験者が高めに分布しており、キャリア加速の一因となっていることが示唆されています。転職経験者の中において『部長クラス』や『経営者・役員クラス』といった高層管理職への割合が多いことは、転職によってキャリアパスが大きく変わる可能性を示しています。
キャリア満足度
現在のキャリア満足度に関しては、転職経験者の70%が肯定的に評価しており、異なるキャリアパスを経て自分の希望や強みをより活かす環境への移行が成功と見なされている様子が浮かび上がりました。
一方、転職未経験層は現職に対する満足感が高く、今後も転職を希望しないという意見が多様でした。これは現職に対する満足度が高いためと考えられます。
転職未経験者の意識
転職を考えていない理由として、「面倒」「リスクがある」といった心身的なハードルが大きいことも明らかになりました。特に転職については「不安」「希望」といった二つの側面が存在することも示されています。
結論
この調査は、新卒入社から3年未満での転職についての多様な価値観を浮き彫りにしています。転職自体は確実にキャリアアップにつながる可能性があるものですが、それに慎重になる理由も理解できます。さらに、企業側はこれらのデータを基に、よりよい職場環境を整え、転職希望者のニーズに合った支援を行うことが求められています。
企業・調査機関について
株式会社プロフェッショナルバンク
2004年に設立された人材紹介会社で、多様な業界の専門家をヘッドハントし、企業の中途採用支援を行っています。自社のHR研究所では、人材戦略や採用活動に関する調査を行い、企業が持続的に成長するためのデータを提供しています。
この調査結果を通じて、企業内のキャリア形成や転職に関する意識が変わりつつあることが感じられます。今後もこの流れが進む中で、企業と社員の関係をどう築いていくかが重要な課題となるでしょう。