Green Carbonが進めるレイテ州のカーボンクレジット創出プロジェクト
Green Carbon株式会社は、フィリピンのビサヤ諸島に位置するレイテ州で新たな水田由来のJCMクレジット創出プロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、同州の水田圃場における水管理方法の変更を通じてメタンガスの排出削減を目指しています。具体的には、間断灌漑(AWD)手法を導入し、2025年1月からのパイロット実証を経て、2023年6月から約1000ヘクタールでのプロジェクトが開始される予定です。
プロジェクトの背景と必要性
フィリピンでは農業分野からの温室効果ガス(GHG)排出量が年間で約5,400万トンに達しており、その中で水田からの排出量が約1,300万トンを占めています。日本とフィリピン間の二国間クレジット制度(JCM)は、こうした問題を解決するための取り組みとして注目されています。今回のプロジェクトは、レイテ州の気候条件に適した持続可能な農業の推進を図るものです。
AWDの導入とその効果
AWDとは、特定の水位に基づいて数日毎に水を供給と自然乾燥を繰り返す灌漑手法です。この方法では、水の利用量を効果的に削減し、同時に環境保護にも寄与します。Green Carbonは、地元のビサヤス州立大学と連携し、メタンガス排出量の計測・解析を行いながらプロジェクトを進めています。このような研究は、プロジェクトの効果を確認する重要な役割を果たします。
レイテ州とその農業
レイテ州は主に稲作を行う地域で、約8万ヘクタールの水田から年間約350トンの米が生産されています。この肥沃な地帯での農業の持続可能性を高めるために、Green Carbonのプロジェクトは重要な使命を持っています。地域の農業従事者にも経済的な利益が期待されており、環境負荷を軽減しつつ収穫量を維持することが求められています。
地元の期待と国際的な視点
レイテ州の農業局長であるImelda Sievert氏は、Green Carbonとの協力関係に高い期待を寄せています。気候変動リスクや環境への影響を軽減しながら持続可能な農業技術を実現するための重要な取り組みとして、本プロジェクトを位置づけています。
さらに、Green Carbonは今後数年間でフィリピン全土の100万ヘクタールにプロジェクトを展開する計画を持っており、これによりフィリピン国内でのAGDの導入を加速させることが期待されています。2030年までには、フィリピンの水田の約半分に相当する面積において同様のプロジェクトが実施される見通しです。
JCMクレジットのさらなる可能性
日本でのJCMクレジットの需要が高まる中、このプロジェクトはフィリピンの農業と環境負荷削減に寄与する重要なモデルケースの一つです。2025年には、水田からのメタン排出量削減に関する新たな方法論が承認され、これを基にしたプロジェクトがフィリピン国内での生産性向上にも寄与していくことでしょう。
今後、Green Carbonの取り組みがどのように拡大し、持続可能な農業と環境保護を両立させていくのか、引き続き注目が集まります。