生成AI導入、プロンプトだけでは限界? RAGやシステム開発の重要性
生成AIの活用は、ビジネスシーンで大きな注目を集めています。しかし、実際には導入が進んでいるとは言えず、企業が抱える課題も多く存在します。
株式会社Lightblueは、生成AIの社会実装に取り組むAIスタートアップ企業です。同社が実施した調査では、生成AI導入済み、または導入予定の企業を対象に、生成AI活用に関するワークショップを開催し、その活用方法を模索しました。
ワークショップに参加した36社から集めた1,281件の「生成AI活用アイディア」を分析した結果、生成AIのプロンプトだけで解決できる施策は約34%にとどまったことが明らかになりました。
調査結果によると、生成AIの活用には以下の課題があることが分かりました。
プロンプトだけでは対応できない業務が多い: 文章の構成、資料作成、議事録要約、翻訳、コード作成などは、プロンプトだけで対応できる業務の例です。しかし、全体の約34%しかありません。
独自データの活用が不可欠: 過去の議事録や提案書の検索・要約、業務ノウハウの活用、マニュアル検索など、社内データに基づいた処理が必要な業務は、RAG(Retrieval-Augmented Generation)によるデータベース参照が必要になります。調査結果では、RAGを用いることで、約41%の業務が実現可能になるとされています。
*
システム開発による連携が重要: 顧客サポートの自動化、CMS連携によるコンテンツ生成、Eコマースのパーソナライズなど、生成AIの機能を既存の業務システムやワークフローと連携させるには、システム開発が必須となります。このような業務は、全体の約22%を占めています。
従来の生成AIツールは、プロンプトの入力や、社内データの活用、システム連携といった課題がありました。 しかし、これらの課題を克服することで、生成AIの活用範囲は大きく広がります。
Lightblueは、これらの課題解決に向けて、「Lightblue Assistant」というAIアシスタントサービスを提供しています。 このサービスは、BoxやGoogle Driveなどの様々なデータソースと連携し、RAG機能を標準搭載することで、社内データに基づいた回答生成を可能にします。また、SlackやTeamsなどのチャットツールからも利用できるため、従来よりも幅広い業務で生成AIを活用できます。
生成AIは、業務効率化の強力なツールになり得ます。 しかし、単にツールを導入するだけでなく、自社の課題やニーズに合わせて、RAGやシステム開発などを組み合わせることで、より効果的に活用することが重要です。
生成AI導入の未来
生成AIの活用は、今後さらに進化していくと考えられます。特に、従業員体験(EX)の観点から、生成AIが自然に業務に溶け込み、従業員が意識することなく恩恵を受けられる環境が重要になります。
Lightblueは、企業が生成AIのポテンシャルを最大限に引き出し、業務効率の大幅な向上と競争力の強化を実現できるよう、RAG導入をサポートしていくと述べています。