医療現場の負担を軽減するために
現代日本は超高齢社会を迎え、高まる医療サービスへの需要に対し、医療現場では労働力不足に悩まされています。特に、医療従事者が日常的に行っている事務作業、特に退院サマリの作成は、彼らの貴重な時間を奪う要因の一つです。退院サマリは、患者が入院している間の病状や治療内容、退院時の状況をまとめた重要な書類であり、他の医療機関やケア施設との情報共有に必要不可欠です。
このような課題を解決するため、株式会社Sapeet(本社:東京都港区)と株式会社ユカリア(本社:東京都千代田区)は共同で実証実験を開始しました。実験は埼玉県の「川口工業総合病院」で行われ、生成AIを用いた退院サマリの自動生成に焦点を当てています。この取り組みは、医療業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する重要なステップとなるでしょう。
退院サマリ自動生成の実証内容
実証実験は2024年8月から11月までの期間に実施されており、以下のような内容で進められています:
1.
データ収集と文章作成:AIが電子カルテからデータを収集し、ガイドラインに基づいて文章を生成します。
2.
比較分析:実務担当者による手作業の退院サマリと、AIが生成したものを比較検討し、精度を向上させるためにAIのアルゴリズムを調整します。
3.
独自アルゴリズムの開発:生成AIのプロンプトを調整すると同時に、解析のための独自アルゴリズムを開発し、効果を検証しています。
この試みの結果として、約80%の精度で人間の手による作成と同等の文書を自動生成できることが確認されました。病院の実務担当者からは、「データ抽出が非常に正確である」との声も上がり、その完成度の高さが評価されています。これにより、医療従事者は退院サマリの作成にかかる時間を大幅に短縮し、患者と向き合う時間を増やすことが期待されています。
今後の展望
ユカリアは、この実証実験の成果を活用し、2025年夏に退院サマリの自動生成システムの正式な発表を計画しています。Sapeetは、医療分野での専門家知見をAIによって活用することを目指しており、今後もユカリアを技術面から支援し続ける意向です。これにより、医療従事者が持つ能力を最大限に引き出し、医療現場の課題を解決することに貢献していきます。
会社紹介
- - 株式会社ユカリアは、医療・介護業界において5つの変革テーマを掲げて活動しており、経営支援やデジタル技術を用いたソリューションを提供しています。(詳細な情報はこちら)
- - 株式会社Sapeetは東京大学発のベンチャー企業で、AI技術を活用した競争優位性の創出を目指しています。(詳細な情報はこちら)
このような取り組みを通じて、医療現場の効率化と質の向上が期待されます。私たち全員の健康を守るために、今後の成果がますます楽しみです。