ブルネイ初の3Dプリント建築が公共施設を誕生させる

ブルネイでの革新的な試み

2025年12月、ブルネイ・ダルサラーム国において、V3D Asia株式会社が手掛けた初の3Dプリンターを使った公共施設、礼拝所と公衆トイレが一般公開されることが決定しました。このプロジェクトは、現地の建築基準を完全に遵守したものであり、3Dプリント技術と素材科学の実力を国際的に証明する重要な一歩です。

プロジェクトが生まれた背景

近年、世界中で増加する人口に伴い、住宅不足や建設業界における労働力不足、さらに建材費の高騰が顕在化しています。これらは現代社会の根深い課題であり、V3D Asiaは独自開発した3D建設プリンターと特殊添加剤技術を駆使し、現地調達可能な一般的なコンクリート材料を3Dプリント用に最適化することで、これらの問題解決に挑んでいます。

建物の概要

今回建設されるのは、約232㎡の礼拝所と約82㎡の公衆トイレで、いずれも3Dプリンターによる建築物としてはブルネイで初めての事例です。設計や施工は現地の気候や利用者のニーズに最適化されており、地域貢献を目指す取り組みと言えるでしょう。

V3D Asiaの技術力

従来の3Dプリンター建築では、専用の高価なモルタルが必要とされることが多く、コストや物流が普及の障害となっていました。しかし、V3D Asiaの強みは、現地で入手できる安価なモルタルに独自の添加剤を加えることで、高品質な3Dプリント用素材に変えることができる点です。この技術により、サービスの質を損ねることなく、コストダウンが可能となりました。

今後の展望

12月の一般公開を皮切りに、これらの新しい公共施設は市民に利用されることになり、ブルネイのインフラ整備に貢献することが期待されています。さらに、V3D Asiaはブルネイでの成功を基に、インドネシアのバタム島での大規模住宅開発プロジェクトや、マレーシア・ベトナムにおける商用住宅プロジェクトの展開を進めていく計画です。彼らのミッションは、「3Dプリンター建築技術と素材科学で世界の住宅問題を解決する」こと。安価で快適な住環境を提供するため、今後も挑戦を続ける姿勢を崩しません。