NECが発表した新しい光トランシーバの性能と可能性

NEC新光トランシーバ「25G Tunable SFP長距離版」の魅力

NECが新たにリリースした「25G Tunable SFP長距離版」の光トランシーバは、特に5Gモバイルネットワークのエリア拡大に向けた重要な製品です。新製品の最大の特徴は、業界最長クラスの伝送距離を実現している点です。これにより、通信の効率とコストパフォーマンスが大幅に向上します。

長距離伝送が可能に

従来の光トランシーバでは、波長分散の影響により伝送距離が15kmに制限されていましたが、「25G Tunable SFP長距離版」は、NECの独自技術であるシリコンフォトニクス光変調器を採用しており、この問題を克服しました。その結果、最高40kmの長距離伝送が実現しました。特に、補償回路（Electｒｉｃａｌ Dispersion Compensation、EDC）を導入することで、電気的に波形歪みを補償し、より信頼性の高い信号伝送を実現しています。

互換性と導入の容易さ

新光トランシーバは、従来の15km製品と同程度の消費電力である2.5W以下を維持しています。このため、既存のSFPポートに対し、簡単に導入できるのが魅力です。さらに、この製品は標準的なSFPサイズを採用しているため、物理的なスペースを圧迫せずに導入可能です。

コスト削減に貢献する技術

特筆すべきは、波長分割多重技術に対応している点です。これにより、一本の光ファイバーに最大50波長を多重することができ、光ファイバーの利用効率が飛躍的に向上します。また、波長可変レーザーを装備していることから、複数のトランシーバを用意する必要がなくなり、棚卸や維持管理のコストも減少します。これらの技術により、コスト効率の高いネットワークを実現します。

自動波長設定機能

加えて、新光トランシーバには自動波長設定機能が備わっており、対向する光トランシーバと通信することで、自動的に波長を設定します。この機能により、導入時に特別な手動設定が必要なくなり、効率的な運用が可能です。

今後の展望

近年、AIや動画配信サービスの利用増加にともない、データトラフィックは年々増加し続けています。NECは、この需要に応えるために、より低電力かつ低コストで運用できるシリコンフォトニクス技術を活用し、今後も光トランシーバのラインナップを増強していく方針です。

「25G Tunable SFP長距離版」は、高速通信インフラの充実に貢献する製品であり、今後のネットワーク環境を大きく変える可能性を秘めています。