ミレニアル世代とお墓の考え方
近年、供養やお墓のあり方について、さまざまな議論が交わされています。特にミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)が、このテーマにどのように向き合っているのかを探るために、全国を対象にしたアンケート調査が行われました。この調査の結果、彼らの価値観や現代の供養の形にかける思いが見えてきました。
調査概要
発表された調査結果は、全国の29歳から45歳までのミレニアル世代300名を対象に、2025年1月10日から30日の期間にインターネットを使用して実施されました。この世代は、デジタル技術の発展と共に育ってきたため、情報収集やコミュニケーションに対するアプローチが非常に独特です。彼らの中には、物事を「所有」するよりも「共有」することを重視する傾向が見られ、古い価値観とはひと味違う意見が数多く寄せられています。
お墓参りの頻度
調査の中では、まず「お墓参り」の頻度についての質問がありました。84.7%の人々が何らかの形でお墓参りを行っており、その中でも48.0%が年に1回以上お墓に足を運んでいることが分かりました。しかし、2022年に行われた調査と比較すると、ミレニアル世代のこの割合は64.5%と比べて著しく低い結果となっています。若い世代がどのようなお墓参りを考えているのか、背景にある意識の変化が伺えます。
お墓の必要性について
次にお墓の必要性について尋ねると、37.0%が「必要でない」と答えました。この結果は、管理や維持に関する負担感が強くなっていることを示唆しています。これに対してお墓が「必要」と考える人の理由は、「ご先祖様を敬うことが大事」という意見が46.9%を占めており、精神的な部分への配慮が多いことが分かります。
亡くなった際の選択肢
もし自身が亡くなった際、どのような形で供養されることを望んでいるのかも調査されました。52.3%が「特に意志はないので後継者に任せる」と回答し、自由な選択肢を求める姿勢が見受けられます。石のお墓や海に散骨する方法、樹木葬など多様な選択肢が挙げられました。
結論
この調査結果から、ミレニアル世代はお墓や供養に対して、一定の伝統を理解しつつも、管理や維持に対する現実的な側面を強く意識していることが見て取れます。彼らの価値観は、多様性を重んじ、自己決定権を重視しているため、伝統的な「お墓」への固定観念からは自由であると言えるでしょう。
また、全石協は、この世代のニーズに応えるために、消費者の相談窓口を設け、適切な情報提供を行うことに努めています。今後も、墓の文化を次世代へとつなげるための支援が期待されます。供養の形は進化していますが、その本質は変わりません。これは、ミレニアル世代が新たな時代の供養文化を築いていく中で、重要なテーマであり続けることでしょう。