大日本印刷の革新的なPTP用フィルム
大日本印刷株式会社(DNP)は、医薬品の包装に特化した新たなプラスチックフィルム、PTP用PPフィルムを開発しました。このフィルムは、従来のアルミ箔からポリプロピレン(PP)に置き換えることで、包装資材の持続可能性を向上させ、リサイクル性を高めています。
開発の背景
世界的に環境問題への対応が求められる中、特にEUでは2025年から新たな包装廃棄物規則が施行されることが決まり、医薬品メーカーもリサイクル可能な包装の導入を進めています。DNPは、この流れに応える形で、バリア性能を兼ね備えたPTP用PPフィルムを開発しました。これにより、モノマテリアル包材として生活者の利便性が向上し、医薬品市場のニーズにも対応可能となります。
PTP用PPフィルムの特長
1.
バリア性能とリサイクル性の両立
従来のPPフィルムは、アルミ箔に負けず劣らずのバリア性能を求められましたが、水蒸気などの透過性を考えると課題がありました。DNPは独自の材料加工技術を駆使し、水蒸気透過度を0.2g/m²・day以下に抑えることに成功しました。これにより、リサイクル性を高めつつも、優れたバリア性能を持つフィルムが完成しました。
2.
日本の医薬品市場への適応
日本の医薬品包装に必要な印刷適性や密封性にも新たなPTP用PPフィルムは対応しています。従来のフィルムでは熱による伸縮が問題でしたが、材料の工夫により、高い印刷適性と密封性を実現しました。これにより、医薬品の品質を確保するための強力な策となります。
3.
透明性と吸湿防止の連携
DNPは、湿気によって品質が低下する医薬品の包装に最適な「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」との組み合わせを考慮しています。これにより、水蒸気に強いバリア性能が得られ、湿気に敏感な製剤の長期間の品質保持が実現されます。
今後の展望
DNPはこのPTP用PPフィルムを医薬品メーカー向けに提供し、2030年度までに売上10億円を目指しています。また、2025年6月には「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」とともに本製品をサンプル提供する予定です。さらに、DNPは2025年7月に開催される「第27回インターフェックスジャパン」でこの新製品を実際に展示し、業界関係者の注目を浴びることでしょう。
まとめ
大日本印刷のPTP用PPフィルムは、医薬品包装における環境への配慮と品質保持の両立を目指す革新的な製品です。今後、持続可能な包装のニーズが高まる中で、この新しいフィルムがどのように医薬品業界に貢献していくのか、その動向に注目です。