茨城県つくば市に建設された新型社宅が目指す持続可能な未来
住友林業株式会社が手掛けた新たな社宅が茨城県つくば市に完成し、利用が開始されました。この社宅は、平面混構造の6階建てで、RC(鉄筋コンクリート)造と木造の両方を取り入れた新しいモデルです。
建物の特長と技術
本物件は、混構造に対応した独自の構法と部材を使用し、建設コストの削減と工期の短縮を実現しています。中央にはRC造を採用し、両端には木造を配置することで、地震の揺れにも強い構造を確保しました。これにより、木造部分にかかる負担が軽減され、構造上のコストも抑えることができました。
さらに、日建設計と共同開発した「合成梁構法」を採用し、木梁とRC床版の組み合わせで天井高を確保しつつ、振動を抑える効果も実現しています。また、当社オリジナルの木質耐火部材「木ぐるみCT」を初めて使用し、一般流通品を用いて低コストでの耐火性を確保しました。
環境への配慮
この社宅では、設計段階からOneClickLCAを用いてCO2の排出量を見える化し、エンボディドカーボンを削減する工夫が施されています。建物全体で322m³の木材が使用され、CO2の固定量は267.239トンに達します。これは約40年生のスギ878本分のCO2固定量に相当します。
また、省エネ・創エネ事業にも力を入れ、再生アルミを使用した高環境性能のサッシや、高効率な設備機器の導入により、築全体で75%以上のCO2削減を実現。さらに、屋上には太陽光発電を設置し、建物の省エネルギー性能表示制度で最高ランクを取得する予定です。
社員の健康と福利厚生
住友林業では、社員に対して木材の効果を調査する取り組みを行い、木の持つ機能や特性が心身に与える影響を研究しています。2025年から2026年にかけて行われる調査では、旧社宅と比較し、「木」が社員の健康に与える影響が検証されるとのこと。これにより、快適な空間を提供し、木造建築の価値向上を目指しています。
今後の展望
住友林業は今後も中大規模木造建築の普及を進め、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献していく方針です。特に、環境性能や木の意匠性を最大限に活かし、顧客のニーズに応じた技術開発を行うことで、快適かつ環境に配慮した建築ソリューションを提供していきます。
この社宅は、木材建材の利点を活かした新しい住宅モデルとして、より持続可能な未来を見据えた取り組みを象徴しています。住友林業の1930年にわたる歴史とともに、今後も木の力を生かした事業展開が期待されます。