がん患者のための栄養管理に関する意識調査の重要性
がん患者さんにとって、治療だけでなくその後の生活も大きな関心事です。この度、森永乳業クリニコ株式会社と一般社団法人キャンサーペアレンツが共同で実施した意識調査が興味深い結果を示しました。この調査は、がん患者さんおよび医療従事者の「食事と栄養」に関する意識の変化を探るもので、3回目の実施となります。
調査の背景と目的
日本では、がん患者さんは増え続けており、予防や治療、さらには患者さん自身のQOL(生活の質)向上が重要視されています。その中で、栄養管理は多くの利点があることがわかってきています。この調査は、特に栄養相談に関する実態や医療従事者からのサポート状況を把握し、今後の支援策を検討するために実施されました。
調査結果の要点
まず、がん患者が栄養に関して相談する機会についての調査結果が注目されます。2021年には相談機会が減少していたものの、今回の調査ではその利用が50%に達しました。また、栄養補助食品の紹介を受けた割合も増加しています。これは、医療環境の変化や、診療報酬改定に伴う栄養関連情報の評価が影響しているかもしれません。
栄養摂取の重視
さらに、患者が重視する栄養素として「エネルギー」が昨年から9.8%増加したことも報告されています。特に医療従事者の指導を受けることで、栄養バランスを取ることの重要性が認識され始めているようです。これに伴い、栄養補助食品の利用が進んでいることは、患者さんの健康状態を支える大きな要素となっています。
情報不足の実態
一方で、がん治療における「緩和ケア」や「在宅医療」に関する情報収集の機会は依然として限られていることが示されています。緩和ケアに関する情報を得たとする回答は約30%にとどまり、在宅医療に関しては1割に過ぎません。このような情報が不足していることは、患者さんやその家族にとって大きな課題であり、今後の支援が求められます。
今後に向けた提言
今回の調査からは、がん患者向けの栄養管理の重要性とその課題が見えてきました。食事や栄養に関する相談の機会を増やし、栄養補助食品をより身近に感じてもらうために、医療従事者との連携が不可欠です。また、患者さん自身が必要とする情報を適切に得られる環境を整えることも求められます。
栄養管理はがん治療において欠かせない要素であるため、今後も継続的な調査と議論が必要です。患者さんが「自らの生活を主体的に選び取る」ためには、正確で役立つ情報が必要であることを痛感させられます。これからも、森永乳業クリニコ株式会社とキャンサーペアレンツは、がん患者支援に向けた活動を進めていくことでしょう。
調査概要
- - 調査主体: 森永乳業クリニコ株式会社/一般社団法人キャンサーペアレンツ
- - 対象者: キャンサーペアレンツ会員(30〜60歳代、全国男女118名)
- - 調査期間: 2024年7月2日〜7月26日
- - 調査方法: インターネットによるアンケート調査
がん患者さんがより充実した生活を送るために、今後も栄養管理に関する意識を高めていく必要があります。私たち全員がこの重要なテーマに関心を持ち続けることが、支援の一助となるでしょう。