車いすテニス界のレジェンド、国枝慎吾選手の初の著書が発売!
2024年7月19日、日本人初のプロ車いすテニスプレーヤーとして活躍した国枝慎吾さんの自著『国枝慎吾 マイ・ワースト・ゲーム一度きりの人生を輝かせるヒント』(朝日新聞出版)が発売されました。
パラリンピックで4つの金メダルを獲得し、4大大会では28回もの優勝を重ね、世界ランキング1位のまま引退。そして、国民栄誉賞に輝いた国枝慎吾さん。誰もが羨む輝かしい道のりですが、その裏には「最強だ!」と自らを奮い立たせ、「常勝」の重圧に立ち向かう、人間・国枝慎吾の姿がありました。
本書は、逆境さえも力に変えてきた彼の軌跡をたどり、人生のヒントを与えてくれる初の自著です。2004年アテネパラリンピック以来、国枝慎吾さんを長年取材してきた朝日新聞スポーツ部の記者・稲垣康介さんが共著者として、国枝さんの素顔を克明に綴っています。
「最悪のゲーム」から学ぶ、人生の転換点
本書では、国枝さんが「マイ・ワースト・デイズ(最悪の日々)」と振り返る、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックでの怪我との戦い、そしてシングルス3連覇を絶たれた挫折などが語られます。
復活への道のりは険しく、自分を疑いかけた時期もあったそうです。しかし、長いキャリアを振り返ると、「最悪の日々」こそが、生まれ変わるチャンスになったと国枝さんは考えています。「絶対王者」の称号を奪われたことで、完全なる挑戦者になれたのです。
表面の明るさの裏に隠された葛藤
本書の共著者である稲垣康介さんは、国枝さんを長年取材してきた経験から、国枝さんの舞台裏を明かしています。いつも明るく、快活で笑顔が似合う国枝さんですが、その裏では、孤独や葛藤と向き合っていたという側面も語られています。
困難を乗り越えるためのヒント
本書では、国枝さんが困難に立ち向かう際に、どのように考えて行動してきたのかが具体的に書かれています。壁にぶつかったときに、背中を押してくれる人たちがいたこと、そして国枝さん自身も活路を見いだすために考え、実行する行動力を持ち合わせていたことなどがわかります。
運を掴むために大切なこと
本書では、国枝さんの人生のターニングポイントで巡ってくる縁や運の不思議さについて触れられています。そうした縁や運をたぐり寄せるために、まず一歩を踏み出すこと、チャレンジしてみることを国枝さんは提唱しています。
困難に立ち向かうためのヒント、そして運を掴むための秘訣が詰まった、人生のバイブルとなる一冊と言えるでしょう。
国枝慎吾さんのプロフィール
1984年東京都生まれ。9歳で脊髄腫瘍のため車いす生活となり、11歳で車いすテニスと出会う。2004年、初出場したアテネパラリンピックで齋田悟司と組んだ男子ダブルスで金メダルを獲得。2006年、アジア人初の世界ランキング1位に。翌2007年には、車いすテニス史上初となる年間グランドスラムを達成した。2008年、北京パラリンピックの男子シングルスで金メダル。2009年4月、車いすテニス選手として日本人初のプロ宣言。2012年ロンドンパラリンピックでシングルス2連覇を果たした。2021年の東京パラリンピックで2大会ぶり3度目のシングルス金メダルを獲得。2022年にはウィンブルドン選手権を悲願の初制覇し、4大大会すべてで優勝する「生涯グランドスラム」を車いす男子で初めて達成し、同時に4大大会とパラリンピックを制覇する「生涯ゴールデンスラム」も成し遂げた。4大大会のシングルスでは全豪オープン優勝11回、全仏オープン優勝8回、ウィンブルドン優勝1回、全米オープン優勝8回。2023年1月に世界ランキング1位のまま引退。2024年1月より、全米テニス協会の車いすテニス担当のアドバイザーに就任。
稲垣康介さんのプロフィール
1968年東京都生まれ。1992年、朝日新聞社に入社、東京、大阪のスポーツ部、欧州総局(ロンドン)、アテネ駐在などを経て、現在、スポーツ担当の編集委員。五輪取材歴が長く、夏冬あわせて10大会を現地でカバーしてきた。テニスの4大大会やサッカー・ワールドカップなどスポーツの国際大会の取材経験が豊富。国枝慎吾選手は2004年アテネパラリンピックで取材したのを縁に長年取材し、2021年の東京パラリンピックの金メダル、2022年のウィンブルドン選手権優勝も現地で取材した。著書に『ダウン・ザ・ライン錦織圭』(朝日新聞出版)。