オートバックスがFLEET PITLOCKに出資
出資内容と背景
株式会社オートバックスセブン(以下「オートバックス」)は、三菱商事エネルギー株式会社の子会社であるFLEET PITLOCK株式会社(以下「FPL」)への出資を発表しました。この出資は、自動車整備業界における業務効率化を目的としたもので、FPLが開発を進めている「FLEET PITLOCKシステム」の普及を加速させる狙いがあります。
現在、FPLは国内の主要なオートリース企業4社と提携し、「FLEET PITLOCKシステム」の開発を行っています。このシステムは、車両情報や手続きを効率的に管理するためのプラットフォームであり、整備工場とリース事業者、エンドユーザーの間で情報の一元化を進めるものです。10月下旬には新機能「請求一元化機能」のリリースを予定しており、11月上旬からは本格的な普及活動が行われる見込みです。
整備業界の現状と課題
自動車整備業界は現在、慢性的な人手不足に悩まされています。整備士のなり手が減少しているだけでなく、業界全体の平均年齢も上昇傾向にあります。また、整備工場のバックオフィス人材も不足しており、専門的な知識を求められる業務が増える一方で、作業を担う人材が少ないため、業務が圧迫されています。
特に法人リース車両は、新車登録台数の約17.2%を占め、増加が続いています。これに伴い、メンテナンスや整備の頻度も増加し、整備工場の事務作業負担が増えています。現在、整備工場が受託している法人リース車両の整備業務では、リース会社ごとに異なるシステムに対応する必要があるため、非常に煩雑な事務作業が生じています。このような背景から、業務の効率化と事務作業の軽減が急務となっています。
FLEET PITLOCKシステムの概要
「FLEET PITLOCKシステム」は、整備工場、リース事業者、エンドユーザー間で車両情報や手続きを一元管理できる画期的なプラットフォームです。このシステムには以下の4つの主要機能が備わっています。
1.
データ集約機能: 各リース会社のメンテナンス依頼データを集約し、一元で閲覧・管理可能
2.
検索・予約機能: メンテナンス対象となる車両の検索と自動Web予約案内を行う機能(順次実装予定)
3.
データ連携機能: 整備基幹システムとのデータ連携を実現
4.
請求機能: リース会社へのメンテナンス報告と請求情報を一元化する機能
さらに、請求機能のリリース後には、請求情報の入力業務代行サービスも展開予定です。将来的には、法人向けリースに伴うバックオフィス業務全般を一括で受託する体制を構築することを目指しています。
企業の声
FLEET PITLOCKの代表取締役である秋元氏は「サービス開発には大手4社との共同作業が重要であり、オートバックスの参加を心から歓迎している」と述べています。また、オートバックスのフリート事業部長、松木氏も「自動車整備業界の効率化は重要な課題であり、今回の出資を通じて価値あるソリューションを共に開発することを目指す」としています。
今後の展望
オートバックスによるFPLへの出資は、整備業界全体の効率化を大きく促進する可能性を秘めています。業界が抱える構造的問題を解決し、整備作業の生産性を向上させるための重要なステップとなるでしょう。今後、FLEET PITLOCKシステムの普及がどのように進展し、業界全体がどのように変革されていくのか、ますます注目が集まります。