2025年10月10日、ニューヨーク発。ユニセフ(国連児童基金)の事務局長、キャサリン・ラッセル氏がパレスチナ・ガザ地区での停戦に関する声明を発表し、特に子どもたちへの支援の重要性を訴えました。
ラッセル氏は、「ガザ地区での停戦は、過去2年間にわたり苦しんできた多くのパレスチナの子どもたちにとって、希望の光が差し込む瞬間である」と強調しました。そして、ユニセフはすでに1,300台を超えるトラックに、必要な物資を準備し、現地で支援を待ち望む子どもたちとその家族のために動き出す準備が整っていることを明らかにしました。
必要不可欠な医療品や栄養食品、教育資材のほか、清潔な水や衛生用品が含まれ、ユニセフのスタッフとそのパートナーが現地で尽力している様子が伝えられています。ラッセル氏は、全ての当事者が人道支援活動が即座に、安全に、かつ大規模に再開できるように、必要な保証を行うことが重要であると述べました。
この2年間、激しい爆撃と戦闘が続いたため、ガザ地区には深刻な被害がもたらされました。公式な報告によれば、64,000人以上の子どもが死亡または負傷し、住宅や病院、学校が壊滅的な状態に陥っています。特に、生活必需品やサービスが崩壊している影響で、さらに多くの人々が人道的支援を必要としています。
現在、ガザ地区の一部では飢きんが発生し、5歳未満の子ども全員、総計32万人が急性栄養不良のリスクにさらされています。加えて、56,000人以上の子どもが片親または両親を失い、全ての子どもたちが戦争の影響で心に深い傷を抱えることになりました。
ラッセル氏は、今回の停戦が、避けられない人道支援を安全に届けるチャンスであることを強調しました。食料、医療、心理的サポート、安全な水、教育機会などが提供されることに加え、商業トラックの輸送が再開されることが必要です。
彼女はまた、特に北部の検問所を即時に開放し、人道支援や必需品の搬入を妨げないようにすることが求められると呼びかけました。厳しい冬が近づく中、子どもたちとその家族が必要な物資を受け取るための時間が限られている状況を考慮しなければなりません。
さらに、ユニセフはこの停戦を契機に、パレスチナとイスラエル双方の子どもたちの権利と福祉を守るための持続的な政治解決を見出すことを強く求めています。これまでの戦争によって多くの子どもたちが苦しんできたことを考慮するなら、彼らには安定し持続的な平和の中で生きる権利があるのです。
13歳の子ども、マイサラさんは停戦の知らせに、喜びを隠しきれない様子で「やっと私の街、ジャバリアに帰ることができる。戦争が終わることは、普通の生活に戻れることを意味する」と語っていました。彼女の言葉が、ガザの多くの子どもたちの心の声を代弁しているようです。
ユニセフは、全世界で2年にわたって続いたこの悲惨な状況からガザの子どもたちが一日でも早く回復し、平和な日常に戻れるよう、全力を尽くしていく意向を示しています。
ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、世界中で最も困難な立場にある子どもたちを支援し、彼らの権利と健やかな成長を促進するために活動しています。190の国と地域での活動に加え、実績のあるパートナーと共に具体的な行動を展開し、すべての子どもたちのために取り組んでいます。ユニセフの活動は、個人や企業、政府からの寄付によって支えられています。詳しくは
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