グアーガム分解物が新型コロナの感染死を抑える可能性を示す研究結果

グアーガム分解物の新型コロナウイルス感染への影響

株式会社メタジェンと慶應義塾大学、東京大学の共同研究により、グアーガム分解物（PHGG）の摂取が新型コロナウイルス感染による動物モデルでの重症化を防ぐ可能性が示されました。2025年1月14日にオンライン科学雑誌「Gut microbiome」に発表されたこの研究成果は、今後の感染症治療法に新たな選択肢を提供するものと期待されています。

研究の背景と研究方法

本研究は、腸内細菌叢やその代謝物質が新型コロナウイルス感染症の重症化に関連していることから出発しました。ハムスターを用いた実験では、通常食を与えたコントロール群と、5%のPHGGを含む特別な食事を与えた群に分けて行われました。それぞれの群に新型コロナウイルスを経鼻感染させ、その後の生存率を比較しました。

その結果、コントロール群では感染10日後の生存率がわずか25%であるのに対し、PHGG摂取群では100%となり、この差は統計的にも有意とされました。これは、PHGGが腸内環境を改善し、感染症に対する抵抗力を高めた可能性を示唆しています。

PHGGの影響とメカニズム

研究者は、PHGG摂取群のハムスターから得られた便を解析した結果、短鎖脂肪酸の量が有意に増加したことが確認されました。特にプロピオン酸や酪酸などは抗炎症作用が報告されており、これらの成分が新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ働きを果たした可能性があります。

さらに、腸内細菌由来の二次胆汁酸であるウルソデオキシコール酸（UDCA）やデオキシコール酸（DCA）の濃度もPHGG摂取群で高く、これらの成分が免疫機能に好影響を与えることが示唆されています。実験の結果、PHGGが腸内細菌叢を調整し、これによって感染症に対する防御機能を強化していることが考えられます。

今後の研究と応用

研究を担当したメタジェン、慶應義塾大学、東京大学のチームは、今後も腸内環境に基づく新しい治療法の開発を進めていくとしています。この研究結果は、食事によるアプローチが新型コロナウイルス感染症に対しても有効である可能性を示しています。

本研究は、日本医療研究開発機構および日本学術振興会の支援を受けて実施されました。腸内環境と免疫の関係をさらに探究することで、新しい感染症治療の扉が開かれるかもしれません。今後の研究成果にも注目が集まります。