重度心身障害者のファッションショーで表現する自由
一般社団法人日本アダプティブファッション協会が主催する『第3回アダプティブファッションショー2025』が、2025年10月4日に大阪で開催される。この取り組みは、重度心身障害者の「着たい」を実現することを目的としており、クラウドファンディングを通じてその運営資金を募っている。
企画の背景
このプロジェクトのインスピレーションは、「人生ではじめてスカートを履いた」という参加モデルの言葉に集約されている。車いすや寝たきりの生活を送る中でも、「おしゃれがしたい」という気持ちは誰にでもある。その夢をファッションで叶えることが、このファッションショーの使命だ。
重度心身障害者とは、重い肢体不自由や知的障がいを抱える方々を指す。彼らは多くの場合、自分で着替えることができず、またコミュニケーションが難しいため、周囲に自分の気持ちを伝えることも困難だ。服に対する関心はあっても、彼らが着られる服が極めて少なく、介護者や家族にとっても「おしゃれ」について考える余裕がないのが現状である。
アダプティブファッションショーとは
このファッションショーは、重度心身障害者をモデルとして起用し、服飾を学ぶ学生たちが彼らに合わせた衣装を制作するという、ユニークな試みである。着る人にとって機能的でありながら、おしゃれなデザインを持つ衣服を展開し、共生社会実現に向けた新しい形を示している。
具体的な衣装の例
- - デニムジャケットを着たモデル
- - 教育を受けた学生がデザインした、おしゃれな大人用よだれかけ
アダプティブファッションショーの目的
このショーは単なる作品発表の場ではなく、次の三つの視点を持っている。
1.
重度障害者が「見る側」から「見られる側」へ:モデルとしてステージに立つことで、社会に自らを発信し、自己肯定感を高める。
2.
多様な人々の交流を促進:支援者や観客とともに、ファッションを通じてつながりを深める。
3.
社会への無関心を変えるきっかけ:障害者との接点が少なかった人々が、このショーをきっかけに「共に生きる社会」への理解を深める。
希望の未来
アダプティブファッションは、誰でも自由に選び、装うことができる社会の実現を目指している。そのためには、ファッションを通じての自己表現が重要され、自分を大切にする価値観が育まれることが望まれる。
過去の活動と実績
2023年と2024年に過去のファッションショーを成功させた実績があり、モデルたちの自己肯定感の向上や、支援者や家族の意識変革が見られた。これにより、社会全体の理解も深まりつつある。
第3回アダプティブファッションショー2025 概要
- - 日時:2025年10月4日(土)
- - 会場:YOLOBASE(大阪市)
- - 入場料:無料
- - 参加校:国際ファッション専門職大学、京都女子大学など多くの教育機関が参加
- - テーマ:「百花繚乱」:個性が美しく輝く場を目指す。
ショーでは障害者のアート作品も展示され、多様性と創造力を紹介する特別プログラムも実施される。大勢の方々に参加していただき、共に新しい未来を考える機会となることを期待する。これからも私たちの活動にご注目ください。