家づくりに対する意識調査
株式会社groove agentが、住宅購入や建築、リノベーションを考える人々を対象に実施した意識調査が、興味深い結果をもたらしました。この調査では、ほぼ半数にあたる50.8%の人が、住宅購入やリフォームの際に「施工品質」を最も重視していることが明らかになりました。
調査概要
この調査は2024年10月23日から30日にかけてインターネット上で実施され、有効回答数は1067件でした。男女比はほぼ均等で、20代から50代までの幅広い年代が参加しています。
参加者の住宅ニーズについての質問では、新築住宅とリフォーム・リノベーションにおける高い関心が浮き彫りになりました。具体的には、新築を検討しているのは50.1%で、中古(リノベ含む)を選ぶ人は45.5%、リフォームを希望しているのが28.2%というデータが出ています。このように、多くの人々が新しい住まいを求める一方で、リノベーションのニーズも増加しています。
施工品質の重視とその理由
最も重視されている「施工品質」という項目について、調査結果からは消費者の安全志向が強まっていることが窺えます。近年、日本では地震や台風など自然災害が頻発しています。このような環境下で、耐久性や安心性、そして施工実績の豊富さを気にする声が高まっています。また、消費者はテクスチャーや美しさよりも、家という大きな投資に対して安心感を重視しやすいようです。
一方で、リフォームや中古購入を希望する層の64.3%と65.9%がそれぞれ「施工技術の品質」を重視していることも注目すべきです。この種別の住宅においては、特に施工品質が重要視されているのです。
建設業の2025年問題
しかし、住宅業界は「建設業の2025年問題」に直面しています。この課題は、熟練の大工職人の高齢化と大量引退に起因する人手不足を示しています。2020年には大工の就業者数が29.8万人と報告され、約40年前の93.7万人に比べて大幅に減少しています。このまま推移すれば2040年には約13万人にまで減少する見通しです。
この問題が進行すると、消費者の住宅リフォームや新築計画に影響が出ることは避けられません。職人不足が深刻化すれば、工事費用が高騰し、着工が待機になることで二重払いのリスクも高まります。
今後の住宅業界への対応
groove agentでは、この問題に対処するために社員大工の採用・育成に力を入れることが重要だと考えています。施工品質を維持するために、熟練工の技術を現場に生かし、育成に努める必要があります。特にリノベーションは新築に比べて技術的な難易度が高く、経験豊富な人材の確保が急務です。
「私たちは採用条件を見直し、リノベーションに特化した職人の育成に力を入れる計画です。特に勤務時間の柔軟性や作業環境の利便性を提示することで、若い人々を惹きつける必要があります」と担当者は語ります。実際に、短期間で20代・30代の若者から多くの応募が集まった実績もあることから、若い世代の興味を引くことは可能だといいます。
まとめ
今後、施工業界は消費者が求める「品質」を担保しつつ、深刻な人手不足に立ち向かう必要があります。調査結果から見える現代の住宅ニーズを理解し、より良い住まいを実現するための方向性を議論することが求められています。