九州とウクライナを繋ぐ食の架け橋
ウクライナの文化と地域の味覚が融合する、特別な試みが九州で始まっています。2023年に行われたクリスマスアドベントというイベントの中で、ウクライナ人留学生ソフィア・ユルチェンコ(愛称ソーニャ)さんが、自国の伝統料理である「ボルシチ」と「ピリシキ」を紹介することになった背景には、地域の企業である岩田産業と株式会社サエキジャパンの協力があります。
交流の始まり
ソーニャさんはウクライナ出身で、2025年から岩田産業で働くことが決まっています。彼女の思いは「日本に住みたい」という夢からスタートし、戦争による生活の変化を受けて、「食」を通じてウクライナの文化を伝えたいという情熱に変わりました。
クリスマスアドベントの誕生
この取り組みの始まりを語るのは、株式会社サエキジャパンの代表、佐伯岳大さんです。2007年に初めてドイツのクリスマスマーケットを体験したことがきっかけで、2013年には福岡でクリスマスマーケットを立ち上げました。これを基に、今年から「クリスマスアドベント」という新たな名称で福岡の冬の風物詩を形成してきました。
食を通じた支援
岩田産業の代表、岩田章正さんは「食を通じて九州を元気に!」という理念の元、業務用食品の卸売に従事しています。しかし、新型コロナウイルスの影響で厳しい時代を迎えました。この中で、ウクライナの人々への支援を考え、佐伯社長とともにウクライナ料理を紹介することを決めました。特に、太宰府市の日本経済大学が交換留学生制度を通じて受け入れていたウクライナの学生たちと、現地の食文化の拡大に努めています。
ボルシチとピリシキの魅力
ボルシチはウクライナを代表するスープで、美味しさだけでなく、国の文化や歴史を象徴しています。日本ではしばしばロシア料理と誤解されますが、ウクライナのワインや食材との組み合わせによって、その独自性が光ります。佐伯社長は「この料理で平和の象徴としたい」と願い、来場者に食べてもらうことで、平和への思いを共有してほしいと語ります。
ソーニャのメッセージ
ソーニャさんは「料理は心をつなぎ、文化を伝える力があります」と述べ、ウクライナ料理を食べてもらうことで、日本の皆様にウクライナの温かさや文化的誇りを体験してほしいと願っています。彼女の思いは、ただボルシチやピリシキを通じて食を楽しむだけでなく、ウクライナ支援への理解と感謝を育むことでもあります。
今後の展望
今後、岩田産業やサエキジャパン、そしてソーニャさんの取り組みは拡大し続けるでしょう。福岡の「クリスマスアドベント」を全国に広げ、他の国の料理も紹介していく計画も進行中です。この活動を通じて、多国籍な食文化を楽しむことで、私たちの日常が豊かになり、食を通じた平和の実現につながっていくことでしょう。
ぜひ皆さんも、九州の冬を彩るクリスマスアドベントに足を運び、ウクライナの伝統と心のこもった料理を楽しみながら、支援に参加してください。