上橋菜穂子最新作『香君』が文庫化!壮大なファンタジーの世界へ
「精霊の守り人」シリーズや「鹿の王」で知られる作家、上橋菜穂子さんの最新作『香君』が文庫化され、いよいよ9月4日から発売されます。単行本は上下巻でしたが、文庫版では全4巻に。1巻と2巻が9月4日に、3巻が11月6日、4巻が12月4日にそれぞれ発売されます。
『香君』は、オアレ稲という奇跡の稲によって繁栄を誇るウマール帝国を舞台に、人並外れた嗅覚を持つ少女アイシャの物語です。彼女は「香りの声」と呼ばれる植物や昆虫たちのコミュニケーションを理解し、その能力を通じて、帝国に潜む陰謀やオアレ稲の秘密に迫っていきます。
物語は、アイシャが当代〈香君〉の元で働くことになったことから大きく動き出します。神授の稲であるオアレ稲は人々に豊かさをもたらしますが、同時に恐ろしい性質も秘めていました。ある日、オアレ稲に奇妙な虫害が発生し、帝国は食糧危機に陥ります。アイシャは当代〈香君〉と共に、オアレ稲の謎を解き明かし、人々を救うため奔走するのです。
上橋菜穂子さんは、「香り」と植物や昆虫の生態をテーマに、壮大なファンタジーの世界を作り上げています。目に見えないものが織りなす複雑なネットワーク、そして、その中で生きる人々の生き様を描いた作品は、読者に深い感動と共感を呼び起こすことでしょう。
上橋菜穂子さんのコメント
上橋菜穂子さんは、文庫化にあたり、「香君」への思いを語っています。
声をもたず、動くこともない草木のことを、私は長く、とても静かで受動的な存在だと思っていたのですが、あるとき、彼らが、「香り」など様々な方法をもちいて、実に能動的に生の営みを繰り広げていることを知って、大きな衝撃を受けました。
目に見えぬものに気づくのは難しいですが、実際には、私たちは、香りや音、ウィルスや微生物など、多くの目に見えぬものが様々な形で関わり合い、巡り、やりとりをしている世界に生きていて、意識するしないに関わらず、その複雑なネットワークの中に組み込まれているのですよね。
『香君』は、優れた嗅覚によって、「香り」で繋がっている世界を知ることが出来るアイシャが、どのような選択をし、生きていくかを描いた物語です。
単行本のときも美しい装丁にしていただきましたが、上下二巻の単行本が、今回全四巻の文庫本になりますので、「春」と「秋」に「夏」と「冬」が加わって、春夏秋冬の素敵な表紙になりました。
小さな文庫本の中に広がっている世界を、楽しんでいただけたら幸せです。
上橋菜穂子さんの言葉からも、この作品に込められた深いメッセージを感じ取ることができます。
上橋菜穂子さんについて
上橋菜穂子さんは、1962年生まれの作家です。1989年に『精霊の木』で作家デビューし、数々の賞を受賞しています。代表作には「守り人」シリーズ、『獣の奏者』、『鹿の王』などがあります。国際アンデルセン賞作家賞など、国内外で高い評価を受けており、世界中で愛される作家です。
『香君』文庫版への期待
『香君』文庫版は、単行本よりもさらに読みやすく、手に取りやすいサイズになっています。美麗な表紙は、春夏秋冬の季節を感じさせるデザインとなっています。上橋菜穂子さんの描く壮大なファンタジーの世界を、ぜひ文庫版で楽しんでください。