M&Aの現状と展望
2025-06-13 11:41:17

CEO調査が示すM&Aの現状と今後の展望について

EYのCEO調査が示すM&Aへの意欲



EYが発表したCEOに関する調査、通称「EYパルテノン CEO Outlook」の結果が明らかになりました。この調査は、世界各国のCEO1,200人、日本からは70人を対象に行われました。CEOたちの今後のビジネス運営や売上に対する考え方が浮き彫りになっています。特に注目すべきは、貿易や関税に関する不確実性の中でもM&A(合併・買収)が依然として最優先事項として認識されている点です。

調査結果によれば、世界のCEOの50%、日本のCEOのうち63%が関税の影響に "非常に" または "極めて強い" 懸念を抱いています。これにより、44%がサプライチェーンの見直しや新たな調達先の模索を進めています。しかしその一方で、57%のCEOが今後1年以内にM&Aを行いたいと考えており、このデータは不透明な市場状況にもかかわらず、企業成長を目指す意欲を示しています。

日本のCEOの動向



日本のCEOについても興味深い結果が出ました。調査では全員が今後12カ月以内にM&Aやスピンオフ、IPOなどのトランザクションを計画していると回答しました。ただ、M&Aに関心を持つCEOは前回の69%から27%に減少しており、トランプ時代の関税政策の影響が大きく影を落としているとされています。

しかし、インドや他のアジア市場への投資意欲は高く、ジョイントベンチャーや戦略的提携の可能性を模索する動きも活発です。加えて、日本のCEOの75%がインフレを持続的な問題として捉え、経費の見直しに注力しているのが現状です。

不確実性と戦略の見直し



CEOの54%が計画していた投資を延期している一方で、積極的に対応策を進めている企業も多く、一部は新たな製品設計やサプライチェーンの再構築を図っています。また、最近の調査では、特に知的財産の保護や製品設計の革新を通じた製品開発が重要視されています。

M&Aの価値とAI投資



驚くべきことに、55%のCEOは最近のM&Aから期待通りの価値を得たと回答し、成功例が増えていることがM&Aへの意欲を後押ししています。逆に、AIの導入に関しては、36%がポジティブな成果を報告する一方で、25%は期待外れの結果に終わっているとしています。これは、現在の経済状況の中でCEOが抱える矛盾した選択を映し出しています。

現在、多くのCEOが運営効率とコスト削減の必要性から、AI投資の拡大を躊躇している状況にあります。さらに、顧客管理や収益性の確保に向けた厳しい管理が求められ、インフレ対応が今後の最大の課題になるという見方も広がっています。

まとめ



このように、EYの調査結果は、貿易や関税の不確実性の影響を受けつつも、M&Aは依然として多くのCEOにとって重要な成長戦略であることを示しています。不安定な市場環境において、企業がどのように変革を進めていくのか、そしてそれが持続可能な成長にどのように寄与するのか、今後の動向に注目が集まります。EYは今後も引き続き市場の変化に対応した報告を発信していく予定です。

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