新たな教育の形「インクルーシブ学級」
2025年3月12日、東洋館出版から阿部利彦教授編著の書籍『わたしたちの「インクルーシブ学級」を語り合おう』が発刊されました。この本は、特別支援教育の専門家と実務家が、共に成長できる学びの場「インクルーシブ学級」について語り合い、具体的な実践とその可能性を探りつつ、教育現場における課題を共有する鼎談集です。
この本の特徴は、著者が特別支援教育の専門家である阿部利彦教授、川上康則教授、菊池哲平教授に加え、実際に教育現場で活躍する実務家たちとの対話が展開されている点です。著者たちと登場する教育者たちは、それぞれの視点と経験をもとに、どのようにしてすべての子どもが平等に学び成長できる環境を実現するかについて、熱く語り合います。
インクルーシブ学級とは?
「インクルーシブ学級」とは、異なる背景やニーズを持つすべての子どもたちが共に学び、成長するための教室のことです。教育者が目指す理想であり、教育の根幹に関わるテーマです。しかし、実際の教育現場で、どのようにこのコンセプトを実現できるのか、具体的なアプローチが求められます。
本書では、特別支援教育の専門家が、実際に現場で奮闘する教員たちと共に、インクルーシブな授業やクラスの構築について意見を交わします。各章では、実践的な知恵や成功体験、さらには挑戦についても触れられています。具体的には、以下のような内容が含まれています。
章ごとのハイライト
- - I章: 宗實直樹先生が、様々な子どもたちを受け入れる授業の在り方について意見交換を行います。
- - II章: 髙橋達哉先生と教師の協働的な学びの工夫を考察します。
- - III章: 北森恵先生のUDL(ユニバーサルデザイン for Learning)実践から多くの知見を得ます。
- - IV章: 小野絵美先生とのインクルーシブ学級経営についての対話。
- - V章: 樋口亜紀先生が特別支援教育におけるマインドセットについて示唆を提供します。
- - VI章: 山田光太郎先生と教師の成長支援について考えます。
- - VII章: 上條大志先生との「子どもの見取り」をテーマにした対話。
- - VIII章: 編著者たちがまとめとして、インクルーシブな学級づくりの可能性や方向性を再確認します。
未来へのメッセージ
本書のまえがきには、著者たち自身が語り合った結果得られた学びが記されています。特別支援教育の専門家たちも、訪れた教育現場から多くの発見を得たことが印象に残ります。この本が、読者にとって自らの教室でインクルーシブな学級を築くために役立つ新たな視点や実践アイデアの源となることを願っています。
将来の教室が、すべての子どもにとって安心できる学びの場となり、一人一人の個性と能力を最大限に引き出せる場であること。そのために、本書は大切な道しるべとなることを期待しています。
誰におすすめか
この本は、特に「インクルーシブ教育」に関心がある教育者や、ユニバーサルデザインについて理解を深めたいと考えている方、多様なニーズに応じたクラスの構築を目指している先生方にぜひとお勧めしたい一冊です。
詳細については東洋館出版社の公式サイトをご覧ください。