脳波測定で進化する新幹線の安全性
株式会社マクニカが、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)と連携し、新幹線の運転士に向けた脳波測定の実証実験を開始した。この試みは「絶対の安全」をテーマに掲げており、運転士の集中度や覚醒度の科学的な測定・分析を行うことで、安全運行のさらなる向上を図るものだ。
実験の背景と目的
新幹線の運行において、安全の確保は最も重要な課題である。JR東海は、運転中における運転士の集中度や覚醒度を科学的に解明するため、この実証実験を行うことを決定した。脳波を用いることで、より高次元からの分析が可能になり、運転士の状態を詳細に把握する環境が整った。
【実験の目的】
1. 新幹線運転士の集中度・覚醒度を可視化。
2. 集中度や覚醒度のメカニズムの解明及び改善手法の確立。
実証実験の実施概要
この実験は、東京から新大阪までの区間で実施され、早朝、午前中、午後、夜間といったさまざまな時間帯で様々な条件下で運転士の脳波を測定した。使用された装置は、BitBrain AirというEEGデバイスで、解析にはInnerEye SensePlusが活用された。
実験は2つのフェーズに分けられ、最初のフェーズでは運転中の状態を計測し、次のフェーズでは対策の効果を測定するために、運転士の状態変化と対策の関連性を明らかにすることを目指した。
測定結果と今後の展望
実験の結果、運転士は高い集中度・覚醒度を保持していた。しかし、詳細な分析を通じて、状態変化には一定の傾向が見られ、対策による効果の違いも明確に示された。今後は、収集されたデータを元に、運転士が感じるストレスや疲労を軽減する手法の開発を進める方針だ。
脳波測定を通じて新たな安全基準を
マクニカは、新幹線以外にも経験値に依存せず運転中の状態を計測する技術の応用へ向けて、認知状態のデータ収集と解析をさらに進める計画を持っている。また、2024年11月には開催される「AI・人工知能EXPO【秋】」にて、今回得られた知見やブレインテックソリューションの展示を行うことも予定している。
まとめ
この新たな取組みは、新幹線の運行における運転士の安全確保に向けて、一歩踏み込んだ科学的アプローチを展開するものであり、今後の技術進展とともに大いに期待される。マクニカとJR東海の協力によるこのプロジェクトが、新幹線の安全基準を一段と高めることに寄与することを期待したい。