中堅社員を取り巻く厳しい現実
企業の中核を担う中堅社員が今、直面しているさまざまな不安についての調査結果が出ました。ALL DIFFERENT株式会社が行ったこの調査では、800人の中堅社員を対象に、「知識・スキルに関する不安」が最も大きな壁となっていることが示されました。
この調査でも分かるように、中堅社員は新入社員と違い、組織からの支援を受けづらくなっており、育成についての議論はあまり行われていないのが現状です。実際の調査結果では、42.9%の中堅社員が「自分の知識やスキルに不安を感じている」と回答しました。
知識・スキルの不安がもたらす影響とは
この「知識・スキルの不安」は、実際に転職の意向にも影響を与えていることが判明しています。転職を考えている中堅社員の58.5%がこの不安を抱えていると回答し、転職を考えない人と比べて21.3ポイントも高い数値を示しました。これは、知識・スキルに対する自信のなさが、新しい環境への挑戦を後押ししているとも言えます。
さらに、専門性を追求したいと考えるスペシャリスト志向の中堅社員の70.7%が、同様の不安を持っていることも興味深い点です。スペシャリスト志向の社員は、自身のスキルが時代のニーズに合っているのかを常に考えています。
非定型業務と知識・スキルの不安
調査では、非定型業務に多く関わる中堅社員ほど知識・スキルに不安を抱えている傾向が見られました。「とてもよくある」と答えた層では、約70%が「知識・スキルの不安」を感じているとのこと。非定型業務に取り組む機会が多いほど、これまでの知識やスキルが適応されているのか疑問を抱くのかもしれません。一方で、非定型業務が全くない層では、知識・スキルの不安を感じていない人が約4割にのぼるとのことです。
壁を乗り越えるためのサポートが必要
さらに調査結果では、知識・スキルの不安を感じている中堅社員の約4人に1人がその壁を乗り越えられていないと答えています。支援がないままとなっていると、多くの人々がキャリアの停滞や離職に直面する可能性があります。
実際、この知識・スキルの不安を解消するために企業は何ができるのでしょうか。調査の結果、知識・スキルを乗り越えた人たちの主な要因として「我慢・忍耐」が挙げられました。このような状況が続いてしまうと、最悪の場合、優秀な中堅社員が離職してしまう事態に繋がりかねません。
組織としての役割がますます重要に
不確実性が増す現代において、ミドルキャリアを支えるために企業は積極的な支援策を考える必要があります。今後、中堅社員が柔軟に活躍できる職場環境を作るためには、まずは彼らにフィードバックを与え、知識・スキルを向上させる機会を用意することが大切です。
また、知識・スキルを学ぶ場を提供するだけでなく、「中堅社員の成長を重視し支援する」というメッセージを発信することが、安心感を持たせるカギとなるでしょう。こうした企業の姿勢が、社員の自信を取り戻し、離職の抑制につながっていくことが期待されます。
この調査結果は、中堅社員の「壁」を理解し、それを乗り越えるための重要な手掛かりとなります。企業の体制が整うことで、中堅社員がより良い環境で成長し、活躍することができるでしょう。