メルカリと駿河屋の資本業務提携がもたらす新たな流通モデル
2023年10月、メルカリ株式会社(本社:東京都港区)と株式会社駿河屋(本社:静岡県静岡市)は、資本業務提携契約を結び、エンタメ・ホビー領域でのグローバルコマースに向けた取り組みを共同で進めることを発表しました。両社は、メルカリの越境EC技術と駿河屋の豊富な商品カタログや在庫、鑑定力を融合させ、日本最大級のエンタメ・ホビー商品の流通基盤を構築し、安心・安全な取引を提供することを狙いとしています。
提携の狙いと背景
メルカリは、自社のミッションである「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスの創造」を実現するため、中期的な経営戦略としてのグローバル展開を強く進めてきました。特に、エンタメ・ホビー領域における越境取引は、近年急速に拡大しており、2019年からはその流通総額が15倍以上に成長しました。この分野は全越境取引の60〜70%を占める重要なセクターとなっています。
一方の駿河屋は、国内外に152店舗を展開し、数千万点の在庫と約3,000万件の豊富な商品カタログを保有する日本有数のエンタメ・ホビー専門企業です。フィギュアやトレーディングカードなど、多様な商品で高い評価を受けています。こうした背景があり、両社は新たな提携を通じて、さらなる市場拡大を目指しています。
具体的な取り組み
本提携では、以下の主要な取り組みが行われます:
1.
在庫の統合
メルカリのプラットフォーム上に駿河屋の全商品を連携させ、エンタメ・ホビー領域における品揃えを大幅に強化します。これにより、日本国内外のクライアントは、同一価格で駿河屋の商品を簡単に手に入れることができるようになります。
2.
グローバル市場への展開
駿河屋の公式ECサイトがメルカリのグローバルアプリ上で展開され、日本最大級のオンライン・オフライン融合の「グローバルOMO」を推進することで、エンタメ商品を世界各国の消費者に届ける新たな流通経路を開拓します。
3.
安心・安全な取引環境の構築
駿河屋の豊富な商品データと識別技術、メルカリのAI技術を組み合わせ、偽造品排除に向けた取り組みを強化します。これにより、取引の安全性が向上し、消費者は信頼できる環境でエンタメ商品を手に入れることが可能になります。
業界の課題と展望
近年、日本のエンタメ・ホビー商品は世界的に高い評価を得ており、需要が急増しています。しかし、グローバル市場では正規流通が適切に整っていない地域も多く、偽造品のリスクや取引の不透明性が課題とされています。この提携を通じて、メルカリと駿河屋は、エンタメ・ホビー領域における信頼性の高い流通基盤を提供することを目指しています。
両社の代表者は、今回の提携が日本のリユース文化を育てるのみならず、世界における日本の文化的魅力を広める新たな仲介者になることを確信しています。今後、オンラインとオフラインを融合した新しい流通モデルを通じて、日本が誇るエンタメ・ホビーの商品を、より多くの世界中の人々に届ける基盤を築いていく予定です。
まとめ
メルカリと駿河屋の資本業務提携は、エンタメ・ホビー領域における新しい流通の形を築くことが期待されています。両社はその専門性を活かし、信頼性の高い取引環境を整備すると共に、リユース文化の広がりをサポートします。この取り組みが実を結べば、日本の多様な文化的価値を世界へ届ける強力な支えとなるでしょう。