朝日新聞の田辺拓也記者、国際写真コンテストで栄冠
2026年の国際写真コンテスト「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード(IPA)」において、朝日新聞社の田辺拓也記者がプロフェッショナル部門「アナログ/フィルムフォトジャーナリズム」で見事に最優秀賞を受賞しました。このコンテストは03年に設立され、世界各国からプロフェッショナル、アマチュア、学生が参加する権威あるイベントです。26年には139カ国から14,000点以上の応募があった中で、田辺記者の受賞は特に注目に値します。
田辺記者が受賞したのは、ハンセン病回復者である中尾伸治さん(92)の肖像を中心とした8枚の組み写真です。これらの写真は、隔離政策や強制不妊手術といった歴史的な人権侵害をテーマにしており、田辺記者は国立療養所・長島愛生園の中で中尾さんの日常を、中判フィルムで丁寧に記録しました。これにより、彼の生活や記憶を通じて過去の問題を今に伝えようとする強い思いが伝わってきます。
受賞作品の中には、中尾さんが手にした自身の肖像と交わる瞬間が捉えられており、彼の70年間にわたる苦難の歴史を象徴するものでありました。この作品は6月10日付の朝日新聞夕刊グラフ面にも掲載され、多くの読者の心に衝撃を与えました。
田辺記者は受賞のコメントで、「この写真は私のものではなく、協力してくださった中尾さんや支援してくださった多くの方々とともに受け取ったものです」と語り、取材の大切さとその背後にある人々への感謝の気持ちを述べました。そして、自らの作品が未来の世代へと記憶や歴史を継承する役割を果たすことを願っていると強調しました。
また、本コンテストのプロフェッショナル「ウィンタースポーツ」部門では、別の作品で東京本社の竹花徹朗記者が佳作を受賞しました。この作品には、ミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得したフィギュアペアフリーの三浦璃来選手と木原龍一選手の感動的な演技が収められており、共にその瞬間を捉えたことで評価を受けました。
田辺記者の受賞を祝して、10月14日から29日まで奈良県立図書情報館で受賞作品の展示が行われることが決定しました。より多くの人々にハンセン病問題への理解を深めてもらい、過去の出来事に対して目を向けてもらう良い機会となるでしょう。
IPA(インターナショナル・フォトグラフィー・アワード)について
インターナショナル・フォトグラフィー・アワードは、プロフェッショナル、アマチュア、学生の写真家が参加できる年次コンペティションで、選ばれた受賞者はIPAの表彰式で表彰されます。プロフェッショナル部門には「年間最優秀国際写真家賞」が設けられ、賞金とトロフィーが与えられます。また、アマチュアおよび学生部門からは「年間最優秀新人賞」も選ばれます。これにより、世界中の才能を発掘し、称賛する場が提供されています。
田辺記者と竹花記者、いずれの受賞も、彼らの情熱と努力の結果であり、今後の更なる活躍に期待が寄せられます。