山梨で再生したさくらんぼ畑が描く新たな未来と地域活性化の挑戦
株式会社セルズは、社会保険労務士向けソフトウェア開発・販売を行う足元では、農業とは無縁のIT企業。そんな彼らが、山梨県山梨市にある耕作放棄寸前のさくらんぼ畑の再生に取り組むことになりました。このプロジェクトは、単なる農業支援ではなく、地域活性化の新たなモデルとして注目を集めています。
背景 ―― 守り手を失いつつあった、山梨のさくらんぼ畑
プロジェクトがスタートしたのは、長年の歴史を持つ牧丘町のさくらんぼ畑です。担い手であった畑主の高齢化や体調面の問題、後継者不足が原因で、古くから育まれてきた畑が危機に瀕していました。自然の美味しさを求められるさくらんぼ。しかし、このままだとこれらの畑は失われてしまう恐れがあるとのことで、地域の関係者は「さくらんぼリバイバルプロジェクト」に立ち上がり、畑の維持に向けてアプローチを開始しました。
この畑は、この2年ほど手入れがされておらず、荒れ果てていましたが、実際には適切な作業を行えば復活の余地は十分にありました。
取り組み ―― 農業“門外漢”のIT企業が、畑仕事に挑戦
IT企業である株式会社セルズが参加し、他のソフトウェア企業とも連携して、畑の土壌改良や作物の受粉作業に取り組みました。このプロジェクトの重要な工程の一つが「受粉」でした。さくらんぼは、花から収穫までの期間が非常に短く、適切な時期に受粉を行わないと実を結ぶチャンスを逃してしまいます。特に「佐藤錦」と呼ばれる品種は、他の品種との掛け合わせが必要とされ、受粉の重要性が際立っていました。
果たして、参加者たちは、人生初の農作業を経験することになりました。緊迫したスケジュールの中で、懸命に作業を行い、何とか収穫まで漕ぎ着けることができました。
1泊2日の“さくらんぼ狩りツアー” ―― デジタルデトックスとチームづくりの場に
収穫の時期に合わせて、セルズは「さくらんぼ狩りツアー」を企画しました。参加者は、自然豊かな場所でデジタル機器から離れ、心身ともにリフレッシュする機会を提供されました。デジタルデトックスを目的としたこのツアーは、メンバー間の絆を深める場ともなり、ウェルビーイングやチームエンゲージメントの観点からも意義深いものでした。
周囲の観光資源を取り入れた体験プログラムも加えて、さくらんぼ収穫を祝う場として、チームの成果を分かち合う時間となりました。
代表・加藤 雅也のコメント
「私にとって初めての農作業は、新たな体験でした。食べ物をゼロからつくることの大切さを実感し、この経験がもっと早くできていればと思いました。さくらんぼの受粉は、花が咲いてからわずか1週間の勝負です。その短期間にどれだけ手を掛けられるかが、美味しさや出来栄えに直結します。全ての花が実になる可能性を秘めたこの作業は、夢をもたらす素晴らしいものだと感じました。」
今後の展望
セルズは、今回のプロジェクトを一時的な取り組みで終わらせず、持続可能な農業と企業活動の接点として育てていきたいと考えています。IT企業ならではの視点を活かし、耕作放棄地の問題解決や、地域との関わりを深めるための新たな戦略を模索していく方針です。このように多様な視点で農業に向き合うことで、地域に貢献し、共生する道を歩んでいくことを目指しています。