在宅勤務が健康に及ぼす影響
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務が急速に普及しました。この新しい働き方には、通勤時間の短縮や自由な時間の増加といった利点がありますが、最近の研究によると、多くの人々にとって深刻な健康リスクも存在することが明らかになりました。
設定と手法
公益財団法人明治安田厚生事業団の体力医学研究所は、首都圏に住む労働者1,133人を対象に、在宅勤務の頻度が身体活動や座位行動にどのように影響するかを調べる横断研究を行いました。この研究では、参加者が活動量計を装着し、日常の活動量を記録しました。また、在宅勤務の頻度についても調査が行われました。
主な発見
研究結果は非常に興味深いものでした。まず、在宅勤務を週に5日以上行う人たちは、通勤を行う人たちに比べて、一日に約4,000歩も歩くことが少なく、さらに座位行動が70分も増加していることが確認されました。つまり、在宅勤務が増えるにつれて、身体活動が大幅に減少し、座って過ごす時間が増える傾向があることが示されました。
加えて、活動量の低下は性別や年齢、教育歴により異なる傾向が見られました。特に、女性や40歳以上の高年齢層、教育水準が低いグループでは、その低下が顕著であることが明らかになりました。
健康への影響
在宅勤務に伴う活動量の低下は、心身の健康に対するリスクを高める可能性があります。座りっぱなしの時間が長くなると、心臓病や糖尿病などの生活習慣病のリスクが増すことが知られています。このため、身体活動を促進する対策が望まれるとともに、特にこの低下が問題となる層へのケアが求められています。
まとめ
本研究は、在宅勤務が普及する現代において、身体活動の減少が深刻な問題であることを明らかにしました。特に、活動量が低下しやすいグループに対しては、健康維持のために特別な支援が必要です。今後、この研究結果を基に、身体活動を促進するための効果的な施策やプログラムの開発が期待されます。また、在宅勤務における身体活動の重要性について社会全体での理解が進むことが望まれます。
これからの健康的な働き方を模索するためには、在宅勤務の利点だけでなく、その影響についても適切に理解し、対応することが重要です。