ブランド化が進む日本の野菜市場
日本の野菜市場は約2.3兆円の規模を誇り、その中でブランド化や高付加価値化が重要な潮流になっています。農林水産省の報告書によれば、2023年の日本の農業総産出額は約9.5兆円で、そのうち野菜は約2.3兆円を占めています。この結果、地域ブランドや地理的表示(GI)制度を用いた農産物は一般品と比べて大きな価格差を実現していることが明らかです。
例えば、夕張メロンは一般品に対して173%高、関あじに至っては941%高値で取引されることもあります。こうしたブランド化は経済効果のみならず、収益性向上と持続可能性の観点でも成功を収めています。
『できればシリーズ』の魅力とは
株式会社農業総合研究所が手がける「できればシリーズ」は、農産物のブランド化の成功例と言えるでしょう。このシリーズは、調理法をパッケージに分かりやすく載せる形で、消費者に分かりやすい選択肢を提供しています。2020年に北海道の「なまら十勝野」と共にスタートし、2022年にブランド名が「できればシリーズ」とリニューアルされました。その後、長崎、鹿児島、千葉など、全国各地にそのラインナップを広げています。
「できればシリーズ」には「ベーシック」「プレミアム」「熟成」といった異なる種類があり、消費者の多様なニーズに応えています。このような継続的なブランド育成は全国的にも稀であり、同社の取り組みの中でも特に注目されています。
売上実績と市場拡大
直近1年間の「できればシリーズ」の売上は約1億円で、月平均でも800万円以上を維持しています。特に北海道産の「男爵」は、そのシリーズの中核を担う重要な商品となっています。また、ここ最近では、「農家の直売所事業」における農産物の月間流通総額が過去最高の13.4億円に達するなど、事業成長が顕著です。
さらに、株式会社クボタとの連携協定や、NTTアグリテクノロジーとの共同開発商品販売など、多方面でのアライアンスも加速しています。これにより、「やさいジョブ」という人材マッチングサービスも始まり、ますます事業範囲を広げています。
ビジネスレポートと未来展望
2023年11月には、ビジネスレポートVol.10が公開予定で、ここでは株式上場以来の成長の軌跡や中長期計画の進捗が紹介されます。このレポートは、代表取締役が新たな挑戦について触れる場となります。
今後、「農業総合研究所」は持続可能な農産業の実現に向け、事業を通じて社会課題の解決に貢献しつつ、すべてのステークホルダーと共に成長を目指していくでしょう。詳細は公式ホームページで確認可能です。
会社情報
株式会社農業総合研究所は、大阪及び全国の約10,000名の生産者と、約2,000店舗の小売店を直接つなぎ、情報や物流、決済のプラットフォームを提供しています。この仕組みにより、都市部のスーパーマーケットで農産物が直送販売されるモデルを構築しています。
持続可能な農業の実現に向けて、生活者を豊かにするプロジェクトを推進する同社の取り組みに、今後も目が離せません。