角幡唯介が魅せる新たな冒険の旅
探検家という職業は、冒険心とともに知識や経験が必要不可欠です。しかし、角幡唯介氏の新著『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』では、従来の常識を覆す「地図なし登山」が描かれています。文明の枠から外れ、ただ地面で感じる本来の感覚を呼び覚ます冒険は、著者にとっても大きな挑戦となりました。
新たなる冒険の始まり
2023年11月20日に新潮社からリリースされた本書は、発売早々から反響を呼び、わずか2週間で重版が決定しました。その背景には、角幡氏の独特な視点と、彼が求めた「地図を持たない旅」の意義があります。地図アプリやグルメサイトに頼りがちな現代人にとって、この考え方は新たな刺激を与えるものです。
「地図なし登山」の難しさ
本書では、著者が日高山脈での「地図なし登山」に挑む様子が具体的に描かれています。未知の領域での冒険においては、予測ができない事態が起こることも珍しくありません。角幡氏は、通常なら登ることができると思われる高低差70メートルの大滝を前に、「登れない」と判断し、撤退を決断しました。この瞬間の心理的プレッシャーは後々まで彼の心に重くのしかかりました。
失ったものと得たもの
著者は、地図を持たないことによって、どれほど生身の人間としての感覚が研ぎ澄まされるのかを探求します。普段の生活では味わえない自由と不安が交錯する中で、彼は自分自身を見つめ直すことになります。その過程で、何が新たに見えてきたのか、また彼の探検家としての価値観がどのように変わったのかを知ることができます。
著者の手紙
「情報が多すぎて息苦しいこの時代に、地図を持たない登山は自分自身の感覚を取り戻す旅でした。未知との遭遇が生み出す感情の動きは、ひたすらリアルで、自分を知るきっかけになりました。」著者のこのメッセージには、多くの人々が心に留めるべき何かがあります。
書籍情報
角幡唯介氏はこれまでにも数々の探検を行ってきた著名な作家。彼の手掛ける冒険記は単なる旅行記にとどまらず、読者に深い思索の旅を提供します。今回もその期待を裏切らない内容になっています。
最後に
『地図なき山』は、現代社会において「地図を持たずにどれだけのことができるのか?」という問いを投げかけています。冒険心を持つすべての人におすすめの一冊です。