脱・依存を目指す株式会社フクムラの挑戦
創業1962年(昭和37年)の歴史を持つ株式会社フクムラは、東京都足立区にある精密板金加工メーカーです。この春、新たに2人の女性社員が加わり、男性の従業員数を上回る新体制でスタートを切りました。多様な取引先へ向けた板金加工のノウハウと、その背景に迫ります。
お客様のニーズに寄り添う技術
株式会社フクムラは、金型プレス加工からスタートし、精密板金加工へとシフト。2代目社長の勝市氏が多様なニーズに応えるため、少量生産にも対応する新しい板金加工技術を導入しました。
3代目社長の福村京介さんは、叔父である2代目社長の死後、会社を引き継ぎました。「精密板金」は高精度な加工が求められ、レーザー加工やパンチングなどの複合的な技術が必要です。また、「NC板金」は数値制御によって、高精度な部品加工が可能です。これらの技術により、フクムラは少量多品種の生産が可能となっているのです。
足立ブランドへの参加
フクムラが「足立ブランド」に認定されたのは、同じ認定企業の「安心堂」からの勧めによるものでした。技術とサービスが“行政のお墨付き”であることは、顧客への信頼を醸成し、より多くのビジネスチャンスを生み出す基盤となっています。
「足立ブランド」への参加を通じて、異業種の企業との連携や情報共有が進み、新たなビジネスの展望が開いています。これにより、フクムラは長年の1社依存の状況から脱却し、現在では約90社の取引先を持つまでに成長しました。
難易度の高い受注にも対応
京介社長は、フクムラの特徴として“図面なしの超難度”の注文を受け付けることを挙げます。これは、完成品のイメージのみから依頼されることが多く、図面や仕様が無い中での製作を意味します。顧客のイメージを具現化する過程では、試作を繰り返し、独自の解決策を見つけ出しています。
「金属を切断し、曲げ、溶接することで、様々な形状を作っていくのが板金加工です。うちの製品を見れば、身近なところにも金属加工が存在していることに気づくでしょう」と京介社長は語ります。
新たな技術の導入
フクムラは、経営方針を見直し、国や自治体の補助金を活用して最新機器を導入することに成功しています。特に、新しく導入された「大型曲げ加工機」によって、従来の職人の技術を簡単に再現できるようになりました。これにより生産性が向上し、品質も保たれるというメリットも生まれています。
さらに、消費者向けのデザインや製品提案を目指し、デザイナーや資材メーカーとのコラボレーションも将来的に展開していく考えです。
女性の力を活かす新しい風
春に加わった2人の女性社員は、職場の雰囲気にも新たな色を添えています。従業員の男女比が逆転することで、フクムラは今後多様性を尊重した組織として成長していけるでしょう。
未来へ向けた期待
フクムラは、ただものを作るという側面だけでなく、顧客との関係を深めることで、ニーズにフィットした製品を生み出し続けることを目指しています。「ありがとうございます」と感謝されることが、職人の何よりの報酬です。これからも新たな挑戦が続くフクムラに、ぜひ注目してほしいと思います。