福岡市と大分銀行が共同で実施するQT-GenAIの実証実験
当社が開発した法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」は、福岡市及び大分銀行との共同により実証実験を始めました。このプロジェクトは、行政業務及び行内業務の生産性向上を目指しています。
デジタル化遅れと生成AIの現状
日本のデジタル化は国際的に見ても遅れており、IMDによる2022年の世界デジタル競争力ランキングでは29位という厳しい評価を受けています。このデジタル化の遅れは生成AIの普及にも影響を与えており、帝国データバンクの調査によれば、企業のうち生成AIを業務に活用しているところはわずか9.1%に留まっています。特に、利用に関する社内ルールを設けている企業は1.2%と、ごく少数です。
「活用イメージが湧かない」といった不安の声が現場から上がっており、IT担当者からは「セキュリティ面のリスクが心配」との慎重な意見も多く見受けられます。このような状況の中で進められるQT-GenAIの実証実験は、企業が生成AIを受け入れる一助となることが期待されています。
QT-GenAIの特長
「QT-GenAI」は、生成AI活用に不安を感じている企業向けに設計されており、安全性と利便性を重視しています。主な特長としては以下の点が挙げられます:
- - Microsoft社の「Azure OpenAI」とGoogle社の「PaLM2」を使用する選択肢
- - プロンプト入力不要で使える「モード機能」
- - 社内での活用方法の共有機能
さらに、ユーザーインターフェースは直感的で使いやすく設計されており、社員へのハンズオン研修を提供することで業務への定着を図ります。この研修は企業のニーズに応じてカスタマイズ可能です。
利用企業のセキュリティ対策
QT-GenAIでは、企業ごとに環境を構築し、アクセス制限や閉域接続などのセキュリティ対策を採用しています。また、企業内で利用した内容は外部に流出することがないように設定されているため、安心して利用できます。個人情報や機密情報を入力した際にはアラームが発報されるヒューマンエラー防止機能も用意されています。
実証実験の進行状況
実際にQT-GenAIを導入したQTnet社の社員100名以上が業務モニタリングやヒアリングを行った結果、高い効果が示されました。具体的には、業務の生産性向上や社員の積極的なシステム利用が確認されており、デジタル化の重要性が再認識されています。今回の実証実験は、2023年10月1日から2024年3月31日までの間に行われ、報告書や議事録作成業務などの効率化を目指します。
QT-GenAIは、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるとともに、AIリテラシーの向上にも寄与する新しい取り組みです。この実証実験が成功することで、多くの企業が時代に即した業務環境を整える一助となることが期待されます。