齋藤経済産業大臣がフィルム型ペロブスカイト太陽電池を視察
2024年8月6日、齋藤健経済産業大臣が東京都内の積水化学工業株式会社を訪れ、同社が開発を進めているフィルム型ペロブスカイト太陽電池およびその製造設備を視察しました。今回の視察は、日本の再生可能エネルギーの未来を見据えた重要な動きの一環として注目を集めています。
視察の初めに、積水化学の社長である加藤敬太氏が、ペロブスカイト太陽電池の概要とその革新的な製造技術について説明しました。ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性があり、これまでの太陽電池に比べて高い発電効率を持つことが特徴です。また、積水化学は独自の封止技術や成膜技術を用いることで、屋外での耐久性が10年相当と確認されており、業界内でも先駆的な存在です。
その後、D社長は実際の製造設備や評価装置を見学しました。続いて、開発の現状や今後の展望について、齋藤大臣と加藤社長が意見を交換しました。大臣は、「いつの日か、このペロブスカイト太陽電池が世界中で使用される日が来ることも夢ではない」との希望を表明しました。これは、再生可能エネルギーの普及に向けた重要な発言であり、さらなる国際的な協力を促す重要なメッセージでもあります。
積水化学は、現在独自のロール・ツー・ロール製造プロセスを確立し、直径30センチのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しています。発電効率は15.0%に達しており、今後は1メートル幅のフィルムの製造プロセスの確立と、耐久性や発電効率の向上に取り組む予定です。さらに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用しながら、開発を加速させています。
また、早期の社会実装を目指し、東京都や西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、株式会社JERAなど、さまざまな企業や関係機関との協力体制を整えています。これにより、2025年には事業化を実現することを目指しています。
今回の視察は、再生可能エネルギーやグリーンテクノロジーの重要性が高まる中で、日本が世界における先進国としての地位を維持し、持続可能な社会の構築に寄与するための大きな一歩となることでしょう。今後、ペロブスカイト太陽電池のさらなる進展が期待される中、企業や政府がどのように連携し、実用化に向けて取り組んでいくのかが注目されます。