NECと大阪大学が実施した通学定期券のデジタル化
2023年3月、NEC、日本の大手IT企業と大阪大学、その関連の大阪モノレールの3者は、通学定期券発行における新たなデジタル技術の活用に向けた実証実験を行いました。これは、学力向上や業務効率化を目指すもので、安全かつ便利な通学環境の提供を目指しています。
実証実験の目的と背景
学生にとって通学定期券を購入する際、毎年新年度に多くの通学証明書が必要になるため、その発行作業は大学にとって大きな負担となります。また、鉄道会社も通学証明書の確認作業が膨大になるため、効率を求められています。さらに、他人になりすました不正購入のリスクも非常に懸念されており、デジタル技術への移行が急務となっていました。これらの課題を解決するため、学生及び職員の負担軽減を目指すこの実証実験が開始されました。
実験の流れ
実証実験は大阪モノレールの千里中央駅で行われ、大阪大学の学生達が参加しました。マイナンバーカードと生体認証技術を使用することで、顔認証を通じて本人確認を行い、その後デジタル本人証明書を取得しました。この本人証明書を大学のサイトに提示することで、デジタル通学証明書が発行されます。次に、鉄道会社の窓口でQRコードを読み取り、デジタル通学証明書を提出。ここで、改ざんがないかの確認と、顔認証による本人確認を行い、ようやく通学定期券が発行されるという流れです。これにより、将来的には学生が窓口に足を運ばずとも、オンラインで手続きができることが期待されています。
実証実験から得られた成果
実証実験を通して、デジタル技術の導入により、本人確認が安全かつ簡単に行えることが確認されました。また、学生及び職員の負担を軽減することにもつながると考えられています。NECの生体認証技術を利用したVerifiable Credentials(VC)は、実用性を高め、他の情報と照合しやすくすることができました。
将来の展望
今回の成果を受けて、今後はさらなるデジタルサービスの展開が期待されます。大阪大学は「OUマスタープラン2027」に基づき、DXを推進し、OUIDという統一IDの発行を通じて、キャンパスでの生活をより快適にし、他大学や企業との連携を深めていく方針です。これにより、社会全体への還元も視野に入れ、広く新技術が活用される未来を描いています。
この試みは、日本国内の大学と交通機関におけるデジタル技術の活用例として、他の地域や大学でも広がる可能性があります。手続きの簡易化や不正防止に貢献するこの取り組みは、今後の教育環境に大きな影響を与えることでしょう。